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プラネタリーギヤ、クラッチ、バンドブレーキなどの組み合わせで変速動作を実現する
ATの外観。
これはFR専用の4速ATのもので、左手前側にエンジンが結合される。最下部の張り出しは油圧コントロール用のバルブを収める部分。
アクセスペダルを踏むだけで渋滞中のノロノロ運転からアップダウンの続く峠道、微妙な動きが必要な車庫入れまで自在にクルマの速度にあわせて変速してくれるオートマチックトランスミッション(以下AT)。
今回は、今や新車の約77%(1994年度)と、完全に乗用車の主流となったATのメカニズムについて解説しよう。
よくATのことを「トルコン」と呼ぶ人がいる。これは正確にはトルク・コンバーターといい、ATの部品の一部でマニュアル車のクラッチの役目とトルクを増大させる役割を果たしている部品のこと。このトルコンがATの仕組みの第一歩だ。
トルコンは、扇風機を2台向かい合わせたような構造をしている。向かい合った状態で片方に電源を入れて回せば、その風を受けてもう1台も回り出す。トルコンの場合も同様のたとえで電源の入っている方をポンプ、風を受けている方をタービンと呼び、その間にステーターと呼ばれる部品が入っている。風(空気)の役割は中に入っているオイルが循環することで果たしている。こうしてエンジン側からミッション側へとオイルを媒体にして動力を伝えているのだ。ステーターによってトルクを増大させる。
エンジンからの入力は左側から入ってトルコンを経由、プラネタリーギヤセットで変速され右端でプロペラシャフトへと出ていく。
トルコンの後のプラネタリーギヤ(遊星ギヤ)を使って変速する。プラネタリーギヤはリングギヤ、サンギヤ、ピニオンギヤの3種類のギヤを組み合わせた構造を持っている。このギヤセットを2個、ないし3個組み合わせ(上断面図ではほぼ中央に位置している)、さらに油圧(もしくは電子制御)でコントロールするクラッチやバンドブレーキなどを使ってそれぞれを止めたり、つないだりすることによりマニュアルの1速のような力が出る(変速比の大きい)状態から4速のような巡航でエンジンの回転を低く抑える(変速比の小さい)状態まで作り出しているのだ。
つまり、ATはマニュアルと違い、ギヤセットそのものをレバーなどで選択するのではなく、プラネタリーギヤの動きをコントロールすることで変速動作をつくり出していると考えてほしい。 |