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VOL.10
コーナーでのスムーズな動きを可能にするメカニズム<ディファレンシャル・ギア(デフ・ギア)>


コーナリング時の駆動輪の左右回転差を吸収しつつエンジントルクを左右均等に配分、さらにミッションからの回転を減速して伝えるディファレンシャル・ギヤ
協力◎日産自動車(株)・三菱自動車工業(株)


各種ギヤの組み合わせでその効果を発揮。最近は電子制御式も登場、注目を集めている

 

概略図

これはFF小型車のもので写真中央から右下にかけてがデフの部分になる。ドライブシャフトは左右に付く。進行方向は図の上へと進む形。

 教習所でクルマの運転を習うときに、内輪差というものを教わったのを覚えているだろうか。これは主に前輪と後輪の軌跡が異なり、後輪が前輪よりも内側を通ることを指した言葉だが、左右の後輪も違う円の上を通過することを普段意識している人は少ないだろう。エンジンからの回転はひとつなのに、なぜ左右の駆動輪は違う速度で回転できるのか、その秘密が今回取り上げるメカニズム「ディファレンシャル・ギヤ」(略してデフ・ギヤ)の働きなのだ。

 

 

 

 基本的メカニズムは、FR車(4WDのリア)用である①の場合なら手前側に接続されたプロペラシャフトからの入力がドライブピニオン(歯が斜めに切ってある傘のようなギア)からリンクギヤ(写真中央部の最も直径の大きなギヤ)に入り(このとき回転が90度変わる)、さらに四角く配置されている4個のピニオンギヤで左右に振り分けられる仕組み。FF車はエンジンの回転軸とタイヤの回転方向が同一なので向きを変える必要がないため左上の図のようにリングギヤ(図右下の出っ張り部分の左側)も通常の形式で構成されている。
 左右の回転差を吸収するのは四角く配置された4個のピニオンギヤの部分。②では右手前と左奥に出ているところが左右の後輪に接続されていて、その延長がピニオンギヤの横向きに見える方につながっている。縦方向にシャフトでつながっている方はリングギヤとつながっているディファレンシャルケースとともに回りつつ、シャフトを軸に自転するので、実際に左右の駆動輪の回転数が変化するとこのギヤが上下で逆に回転して差を帳消しにするのだ。

デフ写真 デフイラスト

これがリアに取り付けられているデフの写真とイラスト。進行方向は①が手前、②が奥となる。どちらもスポーツタイプのクルマに採用。


 今回①、②で紹介したものは両方ともスポーツタイプのクルマに採用されているもの。左右への駆動力の振り分け方をこのデフ内部でコントロールする機構が組み込まれているところが普通のクルマと違う。
 ②は内部がビスカスカップリングという部品でデフの働きを抑えるタイプ。さらに現在発売されているギャラン、ランサーの一部に採用されているのが①の電子制御式で、コンピューターの計算によって左右駆動力比を変化させ、クルマの方向安定性を積極的にコントロールする。


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