目次
VOL.24 ショックアブソーバーって何?(前編)
協力◎カヤバエンジニアリングアンド・サービス
Q1.
ショックって、どんなもので、どこに付いてるんですか?
―
ショック、つまりショックアブソーバーとはどういう役割を持ったものか、という質問なのですが
A1.
ショックアブソーバーはサスペンションを構成するパーツの一つで、多くのクルマはタイヤの奥あたりに、一輪につき一本、場合によっては複数本ついています。基本的には伸び縮みする棒のような形をしてます。更に、ほとんどの場合スプリングを乗せるためのお皿がついていて、スプリングと組み合わせられています。ノーマルの場合、色は黒ですから、タイヤを外してみないとよくわからないでしょう。 そのショックの役割ですが、クルマのボディというのはサスペンションの上に乗っていると考えられます。そして、走行中に拾う路面の凹凸をスプリングの力で吸収しているのです。つまり、路面が凹んでいればタイヤを下げ、出っ張っていればタイヤを引っ込めてボディへ路面の荒れを伝えないようにしているのです。もしサスペンションがなくて、タイヤがボディに直付けになっているとすると、路面の荒れが全て車内に伝わるなどして大変乗り心地が悪くなります。ですからサスペンションが必要となるのです。ところが、スプリングだけでボディを支えていると、何らかの衝撃が加わって一度揺れ始めてしまうと、ずっと揺れ続けるという現象が起きてしまいます。試しにどんなスプリングでもいいですから単体の状態で軽く弾いてみてください。結構いつまでも揺れ続けるでしょう。これでは具合が悪いので、その揺れを止めるためにスプリングの動きを制限しなくてはなりません。その仕事をしているのがショックアブソーバーなのです。ショックアブソーバーは縮める力や伸びようとする力が加わったときにはそれに対して抵抗するため、スプリングの揺れをある程度のところで収束させることができるのです
その他のショックアブソーバーの効果にはどのようなものがあるのですか
普通に真っ直ぐ走っているときには、先ほど言ったような路面の荒れを吸収したスプリン グの余計な揺れを抑える役目ですね。それから、ブレーキを掛けたときにはクルマは前のめりに、コーナリング時には外側に、発進時には後ろ下がりに傾きますが、傾くときに一気に行かないようにゆっくり動かす役目もあります。傾いたボディはスプリングの力で元に戻ろうとするのですが、この時に一気に戻ってこないようにもしています。つまり、クルマの動きを緩やかにする仕事もしています。こういったショックの仕事を測るのに減衰力という言い方をするのですが、この減衰力が高いほど大きな入力を受け止める力があるということになります
では『ショックが抜ける』というのは、減衰力が下がってしまった状態のことを指すのですか
そうですね
ショックがないとスプリングはいつまでもブワブワしてしまう。
減衰力が落ちてくると、どういう症状がでるのでしょうか
減衰力が落ちてきますと、乗り心地がぶわぶわしてきます。つまり、一度何かを乗り越えるような衝撃が加わるといつまでも揺れ続けるようになってしまうのです。それに振幅も大きくなりますので、コーナリング時の傾きが大きくなったりします。いずれにしてもクルマ酔いしやすい人には辛い状態になるでしょう
Q2.
ショックアブソーバーは、どういう構造になっているのですか?
A2.
最も一般的と思われる複筒式のショックアブソーバーの中はこのようになっています。構成パーツは外側のケースであるアウターシェル、アウターシェルの中にシリンダーが入っていて、シリンダーの下にはベースバルブがあります。更にシリンダーの中にはピストンとピストンロッドが入っていて、アウターケース、シリンダーの中にはオイルが満たされています。構造と作動原理を非常に簡単に表現すると、バケツの中に口の部分を突っ込んだ注射器や水鉄砲のようなものといえます。バケツの外側がアウターシェルで、シリンダーが注射器、ベースバルブが注射器の口で、オイルが水、ピストンはそのままピストンと。 ショックが作動するということは、ピストンを押したり引いたりすることになりますがこの状態で注射器のピストンを押すと、中の液体がバケツの方に流れ出ます。そしてこの時に抵抗を感じるはずです。これが縮み側の減衰力で、穴が小さいと抵抗も大きくなる、つまり減衰力が高くなるわけです。当然ピストンを引いたときにも抵抗があります。これが伸び側の減衰力となるのです。これがクルマに装着されていると、何かに乗り上げてタイヤが跳ね上げられても、ショックアブソーバーは一気に縮まないので、ボディには緩やかに上に持ち上がるか、全く動かないということになります
では『抜けた』と言う状態はどうなってしまっているのでしょう
ピストンの周囲が摩耗してしまったり、ベースバルブに不具合がでたり、中のオイルが外に出たりすると減衰力は設計通りに出なくなりますので、先ほど言われた『抜けた』状態になります
減衰力はどういう単位で表されるのですか
単位はkgですが、これはピストンスピードが0.3m/sec、つまり、1秒間に30cmピストンを動かすのに必要な荷重で表しています。その荷重が大きいほど減衰力が高く、少ないほど減衰力も小さくなります。例えば減衰力が500kgのショックアブソーバーがあったとすると、そのショックアブソーバーに500kgの荷重をかけると1秒間で30cm縮む、ということになります。ショックはスプリングと違って瞬間的に動くわけではありませんので、縮むのにかかる時間も関係してくるのです。ですから、同じ荷重をかけても、0.5秒で30cm縮んでしまうショックは、1秒で縮むショックアブソーバーよりも減衰力が小さいということになります。 0.3m/secを基準としたのは、一般的には高速道路を走行していても1秒間でショックアブソーバーが動くのは0.03〜0.05m以下、つまり、3〜5cm位しか動かず、一般道でも0.3m/secというのは最大でもこれ以上はほとんどないという伸縮量ですので、これを基準としています
ショックアブソーバーの寿命はどのくらいなのでしょうか
使い方によって大きく異なってきますが、普通に使って3年程度が目安となります。もちろんそれを超えても全く大丈夫なこともありますし、逆にほとんど走っていないのに壊してしまっているケースもあります」
どういった場合に壊れるのですか
最も多いのが底付きですね。複筒式ショックアブソーバーの場合、底にベースバルブがあるのですが、急激なストロークによってピストンとベースバルブが当たってしまうと、ベースバルブの機能を損ねてしまうことがあるのです。こうなると内部でオイルの流通が起きなくなりますので、減衰力が発生しなくなってしまいます
底付きはそんなに簡単に発生するものなのですか
ノーマルで乗っている場合にはそう簡単には発生しません。ある程度高い速度でいきなり大きな穴に落ちたり段差を乗り越えたりすると起きることはありますが。それよりも、ローダウンによるトラブルの方が多いですね。ショックアブソーバーはそのままで、スプリングだけローダウンタイプにすると、常にショックはノーマルよりも縮んだ状態になっていますので、当然底付きしやすくなってしまいます。そのままでノーマル時と同じように段差を乗り越えたりした場合は、確実にショックにダメージを与えていると思っていいでしょう
Q3.
ローダウンするときのショックはどうしたらいいのですか
では、ローダウンした場合にはショックアブソーバーも換えた方がいいわけですね
A3.
そうですね。いわゆるショートストロークタイプといって、ロッドが短く、ハイトが低いスプリングと組み合わせても十分な縮み側のストロークが確保できるようになっているショックアブソーバーの装着が望ましいですね
他にショックアブソーバーを交換した方がいい場合というのはありますでしょうか
クルマを激しく使うような場合、例えばサーキットやワインディングを走るとか、乗り心地をシャキッとさせたい場合などにもショックの交換は有効でしょう。ただ、使い方にあわせてきちんと選ばなければダメです。