目次

VOL.25
ショックアブソーバーって何?(後編)

協力◎カヤバエンジニアリングアンド・サービス


Q1.

ショックアブソーバーを交換した方がいい場合を教えてください。

A1.


話にも出てきたが、走行距離はあくまでも目安。通勤などで、毎日長距離を走っていても、高速道路ばかりでショックに負担を掛けていなければ、もっと長持ちするし、過激な入力を繰り返すような走りではもっと寿命は短い。

そもそもショック交換はどういうタイミングで行うのがいいのでしょうか。


 ショックアブソーバーというのは消耗品ですので、普通に乗られている方でも3〜5万kmも走られると大体寿命が来ていると思っていいでしょう。もちろん使い方によって大きく変わってきますので、これよりも短い距離でダメになることもありますし、もっと長持ちすることもあります

ダメになっているかどうかを簡単に見分ける方法はありますか


 まず、外観を見て油漏れがあったり、アウターケースに著しいヘコミがあるような場合は要交換ですね。それからクルマを大きく揺すってみて、揺れが2〜3回で止まらず、いつまでも揺れているような場合や揺すったときに変な音がでている場合、走ってみて強くブレーキを掛けた場合にフロントが大きく沈んでしばらく揺れるような場合や、曲がるときの車体の傾きが大きく、傾く(ロール)スピードが速いような場合も交換した方がいいでしょう。それから、走行後にショックアブソーバーを触ってみて、熱を持っていないような場合もダメになっています

交換する場合は、どういったショックアブソーバーを選べばいいのでしょうか


 ノーマルの乗り心地や操縦性に不満がないのならばノーマルのままでいいでしょう。ただし、前回でも触れましたが、ローダウンするような場合、スポーツ走行するような場合、もっと乗り心地をしっかりさせたいような場合はそれなりのショックアブソーバーを選ぶ必要があるでしょう


Q2.

スポーツ走行用のショックアブソーバーは普通のショックアブソーバーと比べてどこが違いますか。

A2.

同じショートストロークタイプでもスポーツ用とドレスアップ用では違うのですか


 スポーツ用のショートタイプはワインディングやサーキットなどをスポーティに走るのにちょうど良くなるような減衰力設定になっていますので、場合によっては乗り心地がハードに感じられるでしょう。それに対してドレスアップ用は、ノーマルよりもひと回りハードにする程度の減衰力設定にしてありますので、あまりレートの高くないローダウンスプリングとの組み合わせにマッチするようにしてあります。ですから乗り心地を大きく損なうことはありません。
 それから、ショートストロークタイプのショックだけではローダウンしません。車高を決めるのはスプリングの仕事だからです。ですから、ローダウンを狙うならそのためのスプリングを選ぶ必要があります。その時に注意していただきたいのは、ショートストロークショックには、適合スプリングの自由長が指示してありますので必ずこれを守ってください。この指示に合わないスプリングの場合は、ジャッキアップしたときにスプリングが遊んで違法になってしまいます


ショックアブソーバーを交換しても、車高は変わらない。車高を決めているのはスプリングなのだ。だから、スプリングと合ったショックアブソーバーを選ばないと、バランスが悪くなるので要注意。

では、そもそもノーマルショックアブソーバーとスポーツ用との違いというのはどういう所になるのですか


 ノーマルとスポーツタイプの大きな違いは、まず減衰力が使用目的に最適になるように上げられていることでしょう。ノーマルのショックアブソーバーは乗り心地をかなり重視していますので、激しい走行をすると耐えきれなくて底付きを起こしたり、ロールスピードが速くて扱いにくくなるのです。もちろん底付きやロールに関してはスプリングのレートも大きく関係してきますが、スプリングが決めるのはロール量で、その速度を調節するのがショックアブソーバーの仕事だからです。ですから、ショックアブソーバーの減衰力が低いと、一気に大きな入力があった場合に底付きすることが考えられます。
 また、タイヤのグレードを上げた場合もタイヤの踏んばりが増すためにロール量は大きくなる傾向があります。こんな場合も減衰力を上げることで最適な姿勢を作ることができるのです。それから、スプリングのレートを上げた場合も交換が必要です。スプリングのレートを上げると、スプリングの動きを抑えるのにより大きな減衰力が必要になります。ですから、スポーツ走行に対応するようなスプリングに換えた場合はショックアブソーバーもそれなりのものに換えてやらないとバランスが崩れてしまうのです

その他に構造的な違いはありますか


 レスポンスを良くするために、バルブの構造や材質を変えている場合があります。というのも、ノーマルの場合、あまりシャープな操縦性を持たせると一般受けしないために、ある程度ダルなハンドリングにしてあります。ところが、スポーツ走行ではシャープなハンドリングが好まれるためにいろいろなところを変える必要があります。当然ショックアブソーバーのレスポンスアップも必要になるため、レスポンスが速くなる材質に変えているのです。
 また、ノーマルショックアブソーバーとは構造そのものが違う場合があります。ノーマルショックアブソーバーの多くは複筒式です。これは構造がシンプルなことと、製造コストを抑えられることなどが主な理由です。この他に単筒ガス式がありますが、こちらは製造に手間がかかるためコストが掛かりますが、ピストン径を大きくできるなどのメリットがあるために、ハイグレードのスポーツ用ショックアブソーバーとして使われています。ただ、ガス式といってもオイルを使っていないというわけではありません。もちろん、スポーツ用としてスタンダードな複筒ガス式も多く使われています。
 更にハードな使い方が考えられる競技用ショックアブソーバーの場合は、使い続けることによって発生する熱ダレを防ぐために容量を上げたタイプもあります。これはチューニングカーでオーバーヒートを防ぐためにラジエターを大きくするようなもので、アウターシェルの径を大きくしたりすることで内部のオイル量を増やし、耐久性を上げています

ガスを封入するメリットは


 ガス室を別に設けることで内圧をかけてオイルの中に気泡が発生するのを防いだり、オイルとガスの混合が起きないようにする、キャビテーション(真空発生)の防止にもなり、性能の安定に繋がります

乗り心地などへの影響はありますか


 ガスを入れると反発力が発生しますので、ガスを入れていないショックに比べるとほんの少しだけ車高が上がります。乗り心地にはほとんど影響はないですね

減衰力調整タイプというのがありますが、減衰力はどうやって変えているのですか


 減衰力はオイルがオリフィスと呼ばれる通路を通るときの抵抗によって発生しています。ですから、このオリフィスの大きさを変えてやれば減衰力も変わるというわけです

減衰力を切り替えると伸び側と縮み側の両方が変わるのですか


 基本的にはそういう構造を持ったものが多いですね。ただ、一部の競技用ショックアブソーバーは伸び側と縮み側を独立して切り替えられるようにしてあるものもあります

調整式のメリットや使うときの注意点のようなものはありますか


 例えばどこかのワインディングに走りに行くのに移動距離が長くて、高速道路を使うような場合があったとします。そんなときは減衰力を低めに設定しておけば、突き上げ感もなく、ソフトな乗り心地で快適な移動ができます。そして、目的のワインディングに着いたらハードに切り替えてコーナリングを堪能する、という使い方ができます。それから、多少ヘタって来たな、と思ったら1段上げてやるとまたハードな乗り心地を取り戻すことができます。
 注意点としては、いつもレートを固定して使うのではなく、たまには切り替えて使って欲しいですね。というのは、ずっと同じレートで使っていると、調整ダイヤルが固着して動かなくなってしまうことがあるのです。


競技用のショックアブソーバーをストリートで使うと何か問題はありますか


 一般公道で使うことに関しての法的な問題は一切ありません。ただし、競技用のショックアブソーバーは競技に勝つことが第一目的なので、乗り心地などの快適性は二の次になっています。ですから、ジムカーナ用のショックアブソーバーでちょっと荒れた道を走ったりすると、かなり突き上げ感があって苦しい、等のデメリットが考えられます。また、減衰力もかなり高めの設定になっていますので、これに見合ったスプリングを使わないとかえって乗りにくいクルマになってしまいますので気を付けて欲しいですね

調整式
ショックアブソーバー

調整式でも調整箇所は右のような下の方についているタイプ(後輪用に多い)と左のような頂点についているタイプ(前輪用に多い)がある。いずれもダイヤルを回して、これから自分の走るステージ、走り方に合わせて減衰力を調整する。

こちら頂点部についたダイヤルをマイナスドライバーのような特殊工具(たいていショックとセット)で回転させることにより、減衰力を調整するタイプ。ボンネットを開けて、クイクイっと調整している人、いるでしょ。

オリフィスとはオイルの通過する穴、と考えると分かりやすいかもしれない。穴が大きければ通過も楽で、減衰力も小さい。穴が小さければ通過が困難で減衰力は大きいのだ。


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