先進の運転支援システムが備わっている車は「特定整備への対応力」をポイントに車検のお店を選びましょう

車の進化にともない、道路運送車両法の一部が改正されました。先進の運転支援システムなどは安全走行に直接かかわる重要な装置であるにもかかわらず、これまで整備や点検について取り決めがされてこなかったからです。

法律の改正により「特定整備」が導入されたことで、ブレーキやエンジンなどと同様、運転支援や自動運転についても車検や定期点検のルールが定められました。今後、先進技術の詰まった車を車検に出すときは、ルールに則ったお店にお任せすることになります。そこで、新しいルールが生まれた背景をおさらいするとともにルールの内容をご紹介します。

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なぜ特定整備制度が導入されたのか?

運転支援システム

運転支援や自動運転の普及が背景

自動車の進化には目覚ましいものがあります。現在発売されている車の多くには運転支援システムが採用されるようになっています。具体的には、自動ブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ=AEB)、レーン・キーピング・アシスト・システム(LKA)、アダプティブ・クルーズ・コントロール(ACC)などが当てはまります。以前は高級車ならではの装備でしたが、最近では軽自動車に装備されるなどますます普及の一途にある傾向です。

運転支援システムの普及状況(平成29年のデータ)
衝突被害軽減ブレーキ:新車乗用車搭載率は生産台数の77.8%
ペダル踏み間違い時加速抑制装置:新車乗用車搭載率は生産台数の65.2%
アダプティブクルーズコントロール:新車乗用車搭載率は生産台数の47.5%
レーンキープアシスト:新車乗用車搭載率は生産台数の19.8%
※参照:国土交通省

また、今後は自動運転システムを搭載する車も増えることが見込まれます。官民一体となってレベル3以上の自動運転の実用化を目指してきたことも、普及に拍車をかけそうです。
自動運転システムのレベル3の定義
衝突被害軽減ブレーキ:新車乗用車搭載率は生産台数の77.8%
特定の条件下においてシステムが運転を実施。作動継続が困難な場合は、システムの介入要求等に対してドライバーが適切に対応することが必要になるのが条件付き自動運転のレベル3です。

特定整備制度とは?

車検と同時に各種メンテナンスを実施することは、結果的にお車のランニングコストを上手に抑えることができるのでおすすめです。一方、車検時にすべてを実施してしまうことで一時的な出費はかさんでしまいます。できるだけ出費を抑えたい、もしくは必要なものであっても出費を分散させたいと思う方も多いのではないでしょうか。

そこでおすすめしたいのが「オートバックス車検」です。オートバックスで車検を受けると、次回車検まで2年間にわたり、オイル交換工賃をはじめ4つのメンテナンスメニューの基本工賃が無料になる、メンテナンスオプションが付帯します。つまり車検を受けてから後日実施したものについても作業工賃の出費を抑えられるのです。

「分解整備」から「特定整備」へと拡大
新たな「特定整備」とは、従来の「分解整備」を拡大したものです。これまでも車の安全にかかわるブレーキやエンジンなどの重要な整備については、その他の作業とは区別して「分解整備」に位置付けられてきました。事業としてこれを行うには、地方運輸局の認証を受けることが必要となる整備です。この「分解整備」の定義を拡大して、自動運行装置を対象に加えその名称を「特定整備」に改めました。つまり「分解整備」の拡張版が新たな「特定整備」ということになります。

■従来の「分解整備」の範囲
・原動機(エンジン)
・動力伝達装置
・走行装置
・操縦装置
・制動装置
・緩衝装置
・連結装置

■新たに加わった範囲
・自動運行装置
新たに加わった「電子制御装置整備」
特定整備の中でも、運転支援システムや自動運転システムに関する整備を「電子制御装置整備」と呼びます。この整備の対象は、自動運転や衝突被害軽減ブレーキ、レーンキープに関連するカメラやセンサー、ECUなどが取り付けられている部分などがあります。

例えば、センサーが内蔵されているバンパーを取り外した場合や、カメラが取り付けられているフロントウィンドウを交換した場合は、「特定整備(電子制御装置整備)」に当てはまります。言い換えれば、センサーやカメラのないバンパーやウィンドウガラスを交換しても特定整備には該当しないことになります。
OBD点検も導入
自動車の定期点検項目に、新しく「車載式故障診断装置の診断の結果(OBDの診断の状態)」が追加されました。これは、一年ごとの点検が義務付けられているものです。点検対象はエンジン、ブレーキ、アンチロックブレーキシステム(ABS)およびエアバッグ、衝突被害軽減制動制御装置、自動命令型操舵機能および自動運行装置に関する識別表示などです。


■OBDの診断対象
・衝突被害軽減制動制御装置に係る警告灯
・自動命令型操舵機能に係る警告灯
・自動運転装置に係る警告灯
・原動機(異常)の警告灯
・制動装置(異常)の警告灯
・アンチロックブレーキシステム(異常)の警告灯
・前方のエアバッグ(異常)の警告灯
・側方のエアバッグ(異常)の警告灯


■OBDの診断手順の例
1. イグニッション電源をオンにして警告灯の点灯をチェックする
2. エンジン始動後、警告灯が消灯することを確認する
3. 点灯があった場合はスキャンツールをOBDポートに接続して故障箇所を特定する
4. 必要な整備を行う
5. 点検整備記録簿に記載する

いつから始まる?

2020年4月1日からスタート

すでにスタートしています。新しい自動車特定整備制度は令和2年(2020年)4月1日から施行されました。この制度を実施するには車検を行う整備工場の準備や自動車メーカーを含めた仕組み作りが必要でした。その準備期間を経ていよいよ始まったわけです。

特定整備の対象になるのはどんな車?

先進の安全装備を備えた車が対象
特定整備のうち、今回の対象は「電子制御装置整備」についてです。車検を受けるときにこの整備が必要とされる車種は各自動車メーカーから公表されていますので、このリストに当てはまる車種は警告灯の点灯もしくは点滅があった場合、特定整備認証を受けた整備工場の手を借りて車検を通すことになります。
スズキ
ダイハツ
トヨタ
マツダ
スバル
ミツビシ
ニッサン
ホンダ
アルファロメオ/フィアット/アバルト
アウディ
ベントレー
BMW
アルピナ
ジャガー/ランドローバー
ジープ
メルセデスベンツ
ミニ
プジョー/シトロエン/D
ルノー
フォルクスワーゲン
ボルボ
以上のリストは令和4年(2022年)4月22日現在のものです。新型車や、モデルチェンジなどによって随時追加されていくことになります。

車検はどこで受ければいい?

最新の車は特定整備(電子制御装置整備)認証を受けているところへ

運転支援システムや自動運転の備わった車は、特定整備(電子制御装置整備)を認証されたお店で車検や点検を受けましょう。今後は電子制御装置を含む特定整備の認証がないと運転支援システムや自動運転に関わる部分の整備ができません。

車検のお店には認証工場や指定工場などがあります。認証工場とは従来でいうところの分解整備を地方運輸局から認められた事業体です。指定工場は、整備に加えて工場内で検査(車検)まで実施できるよう地方運輸局から指定されたところです。

■認証工場とは?
自動車分解整備事業を認証された整備工場のことです。車検においては、24ヶ月点検をしてから陸運局に車を持ち込んで検査を受けます。

■指定工場とは?
指定自動車整備事業の指定を受けた整備工場のことです。陸運局に車を持ち込まないで検査できるので、一貫して車検ができます。

■特定整備認証工場とは?
自動車特定整備事業を認証された整備工場で、先進技術に関わる部分の分解・整備・校正ができます。

先進のシステムが備わっていない車の場合
運行補助装置や自動運転装置のない従来の車であれば特定整備(電子制御装置整備)認証を受けていない整備工場でも整備や作業ができます。また経過措置として、特定整備(電子制御装置整備)認証を受けていない整備工場であっても、バンパーなどの交換作業などそれまで行っていた内容については引き続き令和6年4月1日までは整備できることになっています。

ちなみに、特定整備(電子制御装置整備)の認証を受けていない整備工場は、認証を受けている工場に整備を依頼することになります。
認証を受けている「標識」で見分けられる
電子制御装置整備の認証を受けている整備工場には次のような標識が掲げられています。標識には2種類あります。若草色の標識は電子制御装置を含む特定整備の認証を受けた整備工場、橙黄色の標識は分解整備もしくは特定整備(電子制御装置整備)のいずれかを認証された整備工場を表します。標識の有無で確認することもできますが、直接問い合わせて対応の可否を尋ねるのが良いかもしれません。
特定整備事業を認証されるお店とは?
電子制御装置整備を含む特定整備を地方運輸局から認証されるには、大きく分けて3つの条件があります。ひとつは電子制御装置のための点検整備作業場を備えていること、もうひとつは規定の整備士が揃っていること、そしてスキャンツールなど設備が整っていることが求められています。電子制御装置整備を含む特定整備の認証を受けるには、決して低くないハードルを越える必要があります。
広い点検作業場が求められる
電子制御装置を点検できるだけの広さが必要になります。例えば普通自動車の点検では、幅5m、奥行き16mのスペースが求められます。また奥行きのうち7mの部分については屋内でなければなりません。ただしこのスペースは分解整備を行うスペースや完成検査場と兼用が可能とされています。
優れたメカニックが求められる
電子制御装置の整備を含む特定整備を行う整備工場では、整備主任者全員が「1級自動車整備士(1級二輪は除く)」または「1級二輪、2級自動車整備士であって講習を受けた者」でなければならないとされています。
専用の作業ツールなどを備えている
OBD点検を可能にする整備用スキャンツールや機能調整(エーミング作業)を行うためのエーミングツール、そして作業場の水平を確認するための水準器なども必要です。また自動車メーカーから点検整備に必要となる技術情報を受け取る体制も必須です。

オートバックスの特定整備への対応

オートバックス車検なら先進の車種でも安心

オートバックスは全国434店舗(令和4年3月現在)もの車検指定店舗で特定整備(電子制御装置整備)も取得しています。設備、工員(メカニック)、作業機械の3つの認証条件を満たしたことで、これまでの分解整備に加えて先進の安全装置を備える車に対して自動ブレーキやレーンキープ機能などに関連する整備を行うことができるようになっています。

先進技術を備えた車はもちろんのこと、従来の車もこれまでどおり車検のご相談は大歓迎です。オートバックス車検なら、事前にお見積もりできるのに加えて車検やお見積もりの予約も可能です。公式サイトやスマホのアプリを使って365日24時間どこからでも予約できるので、ぜひご活用ください。

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まとめ

車の進化にともない新しい整備領域が必然的に生まれました。この整備をカバーするのが特定整備が施行された目的です。特定整備には従来の分解整備とは別に、電子制御装置整備が加わっていますので、先進の装備が備わったお車を車検に出すときは特定整備(電子制御装置整備)に対応したお店に出すことをおすすめします。オートバックスでは全国のお店に特定整備(電子制御装置整備)認証を拡大しています。安心してお車の車検をお任せください。

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「車検」と「点検・整備」の違いは?
車検とは安全・環境基準への適合を一定期間ごとに国が検査するものです。一方、点検・整備とは自動車ユーザー(自動車ユーザーから依頼した自動車整備取扱業者を含む)が必要な時(12ヶ月点検等)に自動車を点検し、その結果に応じて必要な整備を行うことをいいます。

なお、道路運送車両法では、日常点検および定期点検の実施が自動車ユーザーに義務づけられていることもお忘れなく。車検のみならず、点検・整備も自動車ユーザーの義務なのです。
どうして車検が必要なの?
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