目次

リフトアップして、ホイールを回したり揺らしたり
  するだけで数多くの点検ができる
 
■車載のパンタグラフジャッキで、無理な点検を行なってはダメ■

 オートバックスのようにプロが整備を行なう場所にはほとんどリフトが備えられている。クルマ全体を持ち上げ、4輪すべてを宙に浮かせられる。
 こうした車輪を宙に浮かせた状態で、タイヤを回しり揺らしたりするという点検がある。たったこれだけの業なのだが、各種の点検が行なえる。
 まずはホイールベアリングの状態。車輪がスムーズに回転できるように、車軸はホイールベアリングによって支えられている。このベアリングに損傷が発生していると、動きがスムーズでなくなり、ベアリングのほかの部分にも負担がかかる。最悪の場合、走行中にベアリングが全損し、車輪が回転できなくなり大トラブルとなる。


 また、ブレーキの引きずりも点検できる。ブレーキキャリパーのピストンやドラムブレーキのマスターシリンダーが錆びたり、リターンスプリングが損傷したりすると、ブレーキパッドやブレーキシューが正しい位置に戻らなくなることがある。完全にブレーキがきいた状態で戻らなくなれば、誰しも異常だと感じるはずだが、少しだけこすっているという位置までは戻ることもある。これをブレーキの引きずりという。

 ブレーキが引きずりを起こしていると、パッドやシューが摩耗するのはもちろん、それが抵抗になって燃費が悪くなり、パワーも出なくなる。ずっと摩擦状態が続くことになるので、発熱が起こり、フェード現象やベーパーロック現象など、突然ブレーキがきかなくなるというトラブルの原因にもなる。タイヤ&ホイールを回してみて、スムーズに回転すれば、ブレーキに引きずりはない。後輪を点検する際にはパーキングブレーキを解除して行なう。

 

 回転させてみて、スムーズに動き異音もなければ、ホイールベアリングもまずは大丈夫といえるが、さらにタイヤの上下を持って前後に揺すってみる。ガタつきがある場合には、ホイールベアリングに異常が発生している可能性がある。ただし、前輪はステアリングシステムに関連したガタつきがあって判断が難しいが、それでも点検できてしまうのがプロなのだ。 さらに前輪は、フットブレーキを作動させた状態で上下を持って揺することで、ステアリングシステムのボールジョイントの点検ができる。ボールジョイントとは、ホイールに角度を付けるためのロッドやアームの接続部分をスムーズに動かすためのもの。異常が発生すると、ハンドリングに悪影響が出る。
これもガタつきの判断が難しい点検だが、プロには可能なのだ。

 アマチュアの場合、似たような点検をするためには、最低限でもガレージジャッキとリジッドラックが必要。2輪をまとめて持ち上げられるガレージジャッキでジャッキアップしたうえで、馬と呼ばれることも多いリジッドラックの上にクルマを固定すれば、作業できないことはない。しかし、すでに説明したようにガタつきについては判断が難しい点検が多い。

 車載のパンタグラフジャッキを使った際には、揺らす点検は絶対にダメ。この場合は、車輪を回転させてみる程度にする。これだけでも、ブレーキの引きずりと、ホイールベアリングの状態をある程度は点検可能だ。

 

 
 パーキングブレーキを解除しギアをニュートラルにしてリフトアップ。車輪を回転させて、ホイールベアリングの状態とブレーキの引きずりを点検
 タイヤの上下に手をかけて前後に揺らすことでホイールベアリングの状態をさらに点検。スムーズに回転しガタつきがなければOKだ
 ブレーキを作動させて行なう点検もある。補助者がペダルを踏んだり、ペダルを固定する専用の器具を使うこともあるが、工具箱でも固定できる
 ブレーキを作動させた状態で前輪の上下を持って前後に揺することで、ステアリングのボールジョイントの点検ができる

前のページに戻る このページのトップへ