トレンド1:AI活用は“部分最適”から“全体最適”へ
AIはすでに多くの企業で導入が進んでいますが、2026年はその活用範囲がさらに広がる年です。
これまでのAIは、運転行動分析や燃費改善など、特定の領域に限られた“部分最適”が中心でした。
しかし現在は、
車両データ・ドライバーデータ・運行データを統合し、フリート全体の最適化を図る方向へ進化しています。
「どの車両を優先的に整備すべきか」「どのドライバーにどの車両を割り当てるべきか」といった判断がより精緻になります。
AIは管理者の代わりに判断する存在ではなく、判断の質を高めるアシスタントとしての役割が強まっています。
トレンド2:DMS(ドライバーマネジメントシステム)の進化
2026年の車両管理を語るうえで、重要なキーワードの一つがDMS(ドライバーモニタリングシステム)の高度化と活用領域の拡大です。
従来のDMSは、「脇見運転」や「居眠り運転」などの危険運転を検知・可視化する安全対策ツールとして活用されるケースが中心でした。
一方、近年ではDMS単体で完結するのではなく、
運行管理システムや車両管理システムと連携し、より広いマネジメント領域に活用される動きが進んでいます。
DMSデータの活用が広げる新たな可能性
●危険運転の背景分析
単なる運転挙動の検知にとどまらず、
運行時間帯、運行頻度、業務負荷などの運行データと組み合わせることで、
「なぜその危険運転が起きたのか」を多角的に分析する活用が進んでいます。
●ドライバーごとの教育・指導内容の最適化
危険運転の傾向や過去の指導履歴をもとに、
個々のドライバーに適した教育内容を提示・レコメンドする仕組みが広がりつつあります。
●労働時間・勤務間インターバルを意識した運行管理
DMSデータや運行実績データを活用することで、
労働時間や休息状況を踏まえた無理のない運行計画を支援する取り組みも注目されています。
●教育履歴と事故・ヒヤリハットの傾向分析
安全教育の実施状況と事故・危険運転の発生傾向を紐づけて分析し、
教育施策の有効性を検証しようとする動きも見られます。
「安全 × 労務 × 運行」をつなぐデータ活用のハブへ
車両管理においては安全対策だけでなく、労務管理や運行計画を含めた総合的な視点が求められるようになっています。
今後は、「危険運転を検知するツール」から「安全・労務・運行を横断的に支える車両管理基盤の一部」として、
DMSの位置づけはさらに重要性を増していくでしょう。
トレンド3:法改正への対応が車両管理の必須テーマに
2026年は、企業の労務・安全管理、契約実務に影響を与える法改正が複数予定されており、車両管理の実務にも直接の影響が出る可能性があります。
以下は、2026年を目途に進められている主な制度変更のポイントです。
主な制度変更とポイント
従業員50人未満の事業場でも、これまで努力義務だったストレスチェックが義務化される方向になっています。対応は政令公布後に必要となるため、早めの準備が重要です。
● 高齢労働者の労災防止措置の強化(努力義務化)
改正労働安全衛生法で、高齢労働者の特性に配慮した作業管理や職場環境の整備が、事業者の努力義務として明確化されています。
● 在職老齢年金制度の見直し
2026年4月から在職老齢年金制度の支給停止基準額が引き上げられる見込みで、働きながら年金を受け取りやすくなる動きが進んでいます(基準額引き上げの方向)。
● 中小受託取引適正化法(取適法)の施行
2026年1月1日から、「下請代金支払遅延等防止法」が改正され、法律名称が「中小受託取引適正化法(取適法)」となります。これにより、対象となる委託取引の範囲が拡大し、運送委託を含む業務委託契約にも一定の規制がかかる点が制度として組み込まれています。
車両管理への影響と対応
実務対応を求めることが予想されます。
特に、高齢ドライバーが働き続ける機会が増える中では、健康管理や安全対策の仕組みづくりを強化する必要が高まっています。
制度対応と現場管理の両面で早めの計画策定が重要です。
トレンド4:EV・ハイブリッド車の“選択と集中”が進む
EVシフトは進んでいますが、2026年は「全車EV化」ではなく、用途に応じた“選択と集中”が進む年になります。
EV導入が進む領域
●営業車(1日の走行距離が安定している)
●企業の環境配慮型フリート(ESG対応)
一方で、長距離輸送や寒冷地では依然としてハイブリッド車やディーゼル車が主力です。
車両管理者に求められるのは、「どの用途にどのパワートレインが最適か」をデータで判断する力です。
トレンド5:安全管理は“叱る”から“育てる”へ
事故削減は永遠のテーマですが、2026年は安全管理のアプローチが大きく変わりつつあります。
従来の「危険運転を指摘する」スタイルから、「ドライバーの成長を支援する」スタイルへとシフトしています。
変化のポイント
●DMSのデータをもとに個別の教育プランを提示
●ゲーミフィケーションによるモチベーション向上
●教育履歴と成果を可視化し、評価制度に反映
安全管理は、単なる指導ではなく、組織文化として育てるフェーズに入ったと言えます。
トレンド6:データ統合による“フリート戦略”の高度化
2026年の車両管理のキーワードは「統合」です。
車両データ、運転データ、整備データ、労務データがつながることで、これまで見えなかった“全体像”が見えるようになってきました。
統合データでできること
●稼働率と事故率の相関分析
●運行負荷と燃費の最適化
●車両配置の最適化(地域・用途別)
フリート管理は、単なる“車両の管理”ではなく、企業の事業戦略を支える重要な機能へと変わりつつあります。
まとめ
さまざまな変化が重なって訪れる年になりそうです。
こうした環境の中で大切なのは、変化に振り回されるのではなく、
「変化を前提に、仕組みで無理なく対応する」という考え方ではないでしょうか。
フリート管理は今や、単なる管理業務ではなく、
安全性や生産性、ひいては企業の競争力にも関わる重要なテーマになっています。
FLEETGUIDEでは、こうした変化を現場で活かすためのヒントを今後もお届けしていきます。
日々の車両管理の見直しや改善に、ぜひお役立てください。
