これってエンジンオイル漏れ?確認方法と原因、対処法について解説
車のエンジンオイル漏れは、放置すると重大なトラブルを招く可能性があります。
しかし、エンジンオイル漏れをどのように判断すればいいのか、漏れていたときにどう対処すればいいのか、わからない人も多いのではないでしょうか。また、エンジンオイル漏れが発覚した際の修理費用の相場も気になるところです。
この記事では、エンジンオイル漏れの確認方法と修理費用相場のほか、原因と対処法について解説します。
エンジンオイル漏れはどう確認する?
車のエンジンオイルの漏れは、どのような方法でチェックできるのでしょうか。まずは、エンジンオイル漏れの確認方法について解説します。
エンジンオイル漏れの発生源を特定する
エンジンオイルが漏れていることを確認する方法として、エンジンオイル漏れの発生源を特定することが挙げられます。
まずはボンネットを開け、エンジンルーム内にオイルのにじみがないかどうかをチェックしましょう。特に、オイルフィルターやオイルパン、エンジンヘッドカバー、ガスケット周辺はよく調べる必要があります。また、エンジンルームの真下から駐車場所の地面に、液体が漏れていないかどうかもチェックする必要があります。
ただし、近年の車には遮音性能や空力性能向上のため、エンジンカバーやフロアアンダーカバーが装着されているのが一般的です。ボンネットを開けてもエンジンカバーでエンジン本体がよく見えなかったり、車の下部がフロアアンダーカバーで覆われているので、仮に液体漏れがあっても、正確な発生源がわからなかったりすることもあります。
漏れた液体の状態を確認する
エンジンオイルの漏れを確認する際には、駐車場所の地面に落ちた液体について観察することも重要です。エンジンオイルは通常、濁った黒色あるいは茶色で、粘り気があるのが特徴です。
車の下に漏れている可能性がある液体には、強い臭気を放つガソリンや、緑色・赤色など色がついたクーラント液(冷却水)、無色無臭のエアコンの除湿に伴う排水などがありますが、これらとは明確に異なるので、判断できるでしょう。
オイルレベルゲージを確認する
車のエンジンオイル漏れの判断は、オイルレベルゲージをチェックすることでも可能です。
オイルレベルゲージとは、目視で油量を確認できる、先端に印がついた棒状の測定器具のこと。エンジンルーム内部の輪っか状のフックを引き抜くと現れるオイルレベルゲージの先端部分を布などで拭き取り、再度差し込んで引き抜きます。
オイルレベルゲージには、先端に「F」と「E」、「H」と「L」といった2つの印(あるいは2つの穴)があります。オイルレベルがこれらの印のあいだにあれば適切な油量ですが、極端に先端側に位置している場合、エンジンオイルが漏れている可能性があると判断できます。
ただし、最近の輸入車などは、オイルレベルゲージが備わっていない場合もあるので注意してください。
エンジンオイル漏れの種類と修理費用相場
エンジンオイル漏れには、大きく分けて「外部漏れ」と「内部漏れ」の2つがあります。ここでは、2種類のエンジンオイル漏れの、それぞれの症状と修理費用相場について解説します。
エンジンオイルの外部漏れ
外部漏れとは、エンジンオイルがエンジンやオイルパンからにじんだり、滴ったりしている状態を指します。
外部漏れにより、地面にエンジンオイルが滴ったり、エンジンルームがにじみ出したエンジンオイルで汚れたりするなどの症状が現れます。また、エンジンオイルも急激に減る傾向があり、外部漏れは比較的目視で確認しやすいのが特徴です。
外部漏れの修理は、ガスケットやドレンボルトの交換などの軽微な対応で済めば、修理費用は数千円から数万円程度が相場となっています。しかし、修理費用が数十万円になることもあります。また、放置するとエンジンの焼き付きなど重大なダメージにつながるので、早めに対応しましょう。
エンジンオイルの内部漏れ
内部漏れは、エンジン内部でエンジンオイルが適切な箇所にとどまらず漏れ出し、「オイル上がり」あるいは「オイル下がり」を起こしている状態のことです。
症状としては、エンジンオイルの減りやエンジンから生じる振動・異音、あるいは加速性能の低下が挙げられます。エンジンルームや車の下回りをチェックしても、目視では原因がわからないのが内部漏れの特徴です。
ただし、走行中のマフラーから出ている大量の白い煙は、エンジンオイルの内部漏れを示唆する数少ないサインといえます。
内部漏れの修理費用は、エンジンオイル漏れの原因や車種などによって大きく異なります。例えば、エンジン内部のピストン周辺に内部漏れの原因がある場合は、数十万円の負担が発生するかもしれません。さらに、エンジンが焼き付いてオーバーホール(分解修理)や載せ替えが必要な場合、車種によっては100万円台の修理費用がかかることもあるので、日頃の点検が極めて重要といえるでしょう。
エンジンオイル漏れの原因
外部漏れや内部漏れといったエンジンオイル漏れは、どのような原因で起きるのでしょうか。ここでは、エンジンオイル漏れの原因について解説します。
ガスケットの劣化
エンジンとオイルパンの接合部分にあるガスケットの劣化は、エンジンオイル漏れの代表的な原因です。
ガスケットはパッキンのような樹脂や金属製の消耗部品で、動かない部品同士をつなぐ際に利用します。接合部分の気密性を高め、液漏れや異物の混入などを防ぐのがガスケットの役割ですが、時間の経過とともに、硬化したり破損したりする可能性があります。
このガスケットが劣化すると、エンジンオイル漏れが発生してしまいます。
バルブシールの劣化
バルブシールの劣化もまた、エンジンオイル漏れの一因となりうる消耗部品です。バルブシールは、ヘッドカバー内のエンジンオイルが燃焼室に漏れるのを防ぎます。
バルブシールは、交換せず劣化したエンジンオイルによって、本来の性能が低下していきます。すると、エンジンオイルを封じ込めることができなくなり、オイル下がり(内部漏れ)の発生につながるのです。
ドレンボルトの不具合
ドレンボルトは、オイルパン下部に備わっている排出口で、オイル交換時にエンジンオイルを抜き取るために使用する部品です。
しかし、ドレンボルトの締め付けが緩かったり、あるいはきつかったりすることで摩耗・劣化して隙間が生じ、結果として接合部からエンジンオイルが漏れ出ることがあります。外部漏れの原因となるので、注意が必要です。
ピストンリングの摩耗
ピストンリングの摩耗も、エンジンオイル漏れの原因のひとつに挙げられます。ピストンリングは、エンジン内部のピストンとシリンダー間のオイル量を制御し、適切な油膜を保つ役割を担っています。
そのため、ピストンリングが摩耗するとエンジンオイルが過剰に燃焼室に入り込み、エンジンオイルの油量が異常に減少する原因となります。
オイルパンの破損
エンジン下部でエンジンオイルを溜める役割を担うオイルパンは、事故や縁石など道路上の障害物などによって破損する可能性があります。オイルパンの破損により、エンジンオイルが漏れる可能性もあるので注意してください。
エンジンオイル漏れの対処法
エンジンオイルが漏れていることが判明した場合、いくつかの臨時的な対処法があることを知っておきたいところです。ここでは、エンジンオイル漏れの対処法について解説します。
エンジンオイル添加剤を使用する
エンジンオイル添加剤は、端的にいえば「車のサプリメント」です。
エンジンオイル添加剤はエンジン内部の汚れを洗浄するだけでなく、エンジンオイルの粘度を高められるため、エンジンオイル漏れの応急処置に効果を発揮します。
ただし、エンジンオイル添加剤はあくまで応急処置です。エンジンオイル漏れの量が多い場合には、早めにプロの整備スタッフに点検を依頼してください。
エンジンオイル漏れ止め剤を使用する
エンジンオイル漏れ止め剤は、エンジンオイル漏れを一時的に防ぐために効果的な添加剤の一種です。
「オイルシーリング剤」などとも呼ばれるこのタイプの添加剤は、劣化したガスケットやシール材を膨張させて気密性を高め、短時間でエンジンオイル漏れを抑制します。
ただし、これもあくまでも一時的な対処法であり、エンジンオイル漏れの根本的な解決にはならないことに注意が必要です。
ロードサービスに救援依頼する
深刻なエンジンオイル漏れが発生した場合、JAF(一般社団法人日本自動車連盟)や加入保険会社などのロードサービスに救援を依頼し、最寄りのカー用品店や自動車整備工場に移動させるようにするのが賢明な手段でしょう。
エンジンオイル漏れだけでなく、エンジンの焼き付きや車両火災といった重大なトラブルが起きる前に、早めの対応を行うようにしてください。
エンジンオイル漏れを放置するとどうなる?
エンジンオイル漏れを放置すると、車のエンジンに深刻なトラブルが発生する可能性があります。最後に、エンジンオイル漏れを放置した際に起こりうることについてご紹介します。
車検に通らなくなる
日本の車検(継続検査)制度では、自家用乗用車の場合、2年ごとに車の安全性がチェックされます。
エンジンオイル漏れは車検時の重要なチェックポイントのひとつで、エンジンオイルが漏れていることが発覚した場合、車検で不合格になる可能性が高いです。また、エンジンオイルのにじみや漏れがある車を走行させるのは道路交通法違反にあたります。
これは、エンジンオイル漏れが後述する車両火災などにつながる可能性があるためです。エンジンオイル漏れが生じた際には、必ず修理しておきましょう。
エンジンが焼き付いて高額な修理費用が必要になる
エンジンオイル漏れを放置すると、エンジン内部に十分なオイルが行き渡らなくなって潤滑機能や冷却機能が失われ、最悪の場合、エンジンが焼き付いてしまいます。
エンジンが焼き付くと、エンジンのオーバーホールや載せ替えなど大規模な修理が必要となり、修理費用が数十万円から数百万円に達することも珍しくありません。エンジンオイルの定期的な交換とエンジンオイル漏れの早期発見のための定期的な点検が、このような高額修理のリスクを避けるためのポイントです。
漏れたオイルに点火する可能性がある
エンジン内部から漏れ出たエンジンオイルは、約350℃という発火点を超えると、みずから発火する可能性があります。エンジンオイルが高温のエンジンやエキゾーストパイプといった排気系の部品に接触することで引火し、車両火災になるおそれがあるのです。
エンジンオイル漏れは、単に車の性能低下だけでなく、車両火災のような大きなリスクももたらすため、早急な対応が必要といえるでしょう。
漏れを防ぐため、エンジンオイルは定期的な交換・点検をしましょう
エンジンオイル漏れを放置すると、走行性能が低下するだけでなく、最悪の場合はエンジンの焼き付きや車両火災など、重大なトラブルの原因となる可能性もあります。
エンジンオイル漏れの対処法はいくつかありますが、最も効果的なのは、エンジンオイルを定期的に交換して劣化を防ぐとともに、定期的にエンジンオイル漏れがないかどうかプロの整備スタッフのチェックを受けることです。
オートバックスでは、エンジンオイル交換のWEB予約が可能です。事前に予約することで、待ち時間が短縮できるとともに、スムーズにエンジンオイルの交換作業を受けられます。一般的な車種の場合、エンジンオイル交換の所要時間は15分前後が目安です。
また、オートバックス会員には、エンジンオイルやオイルフィルター、エアフィルター、ワイパーの交換基本工賃が無料になるメンテナンスオプションもご用意しています。オートバックスによる日常的なメンテナンスで、安全・安心なカーライフをお楽しみください。
- オイル交換とはなにを指す?
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オイル交換の『オイル』とは、一般的に自動車のエンジンオイルを指します。種類には鉱物油・部分合成油・全合成油があります。
車種やエンジン特性、気候条件をはじめとする地理的な環境、使い方などによって、適合するエンジンオイル粘度が変わります。安全で快適なカーライフのためには、最適なオイルを選ぶとともに、適切なタイミングで定期的に交換することが大切です。
- オイル交換の頻度を多くするとどうなる?
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エンジンオイル交換をやりすぎることによる問題は特にありません。シビアコンディションと言われるエンジンに負担がかかるような状況が多い場合は、早めの交換がおすすめです。