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いつから? 費用は? どこで受けられる?OBD検査の義務化によって車検が変わる?

車の進化は著しく、自動運転の領域まで到達しようとしています。完全な自動運転を実現するにはまだまだ越えなければならない壁はありますが、衝突被害軽減ブレーキの実用化など日進月歩の進化を支えているのが車に積まれたコンピューターの存在です。

車に搭載されるコンピューターはいくつもあり、それぞれが割り当てられた役割をこなしつつ互いに連携しながら協調制御するようになっています。より高度で複雑な働きが可能になる一方、不具合があると安全性が脅かされたり十分な性能を発揮できないばかりではなく不具合の原因を探るのが困難になっています。

このような背景から導入されるのが「OBD検査」と呼ばれる新たな車検の取り組みです。そこで、OBD検査とはどのようなものかをまとめるとともに、車のユーザーにとってどのような影響があるのかを解説します。

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OBD(車載式故障診断装置)検査とは

OBDとは?
OBDとはオンボードダイアグノスティクスの略であり、車載式故障診断装置のことを意味します。その役割は車に搭載されている各種電子制御装置(ECU:エレクトロニックコントロールユニット)の状態を監視すること、そしてその故障や不具合の発生を記録することにあります。OBDの誕生は1960年代にまでさかのぼり、欧州メーカーが独自に採用した診断システムが始まりです。このときすでにOBDという名称が使われており、車側にはOBDポートと呼ばれる接続口が備わっていました。その後メーカーによってバラバラだったポート形状や通信コードが統一されて現在に至っています。統一されてから以降はOBD2の名称でそれ以前とは区別されていますが、総称として単にOBDと呼ばれることも珍しくありません。
OBDの役割
車にはたくさんのECUが搭載されており、多いものでは1台で数十ユニットにもなります。それぞれがエアバッグやエレクトロニックスタビリティコントロール(ESC)、衝突被害軽減ブレーキを含む先進運転支援システムなどをコントロールしています。これらの装置そのものや制御を担うECUに不具合が発生したとしても気付かないまま走行を続けてしまう可能性があります。メーター内の警告灯が点灯することで判別できるケースもありますが、警告システムそのものに不具合が発生している可能性もあり万全とは言えません。OBDの役割は目視では判別不可能な点検や検査を可能にすることであり、具体的な不具合の内容が分かるようにすることです。検査には専用の端末やPCなどを車のOBDポートとつないで診断するだけなので診断そのものにかかる時間が短いといったメリットもあります。
OBD検査が導入される理由
国土交通省によると、車の進化にともない先進運転支援システムなどの不具合による事故の発生が報告されるようになってきているそうです。従来の車検内容だけではこのような事故を防ぐことができないため、新たにOBDを使った検査を検査項目のひとつとして導入することが法律で決まりました。
OBD検査の仕組み
OBD検査が導入されることになる新しい車検の仕組みはOBD車検と呼ばれることもあります。OBD検査では「検査用スキャンツール」が利用されます。検査用スキャンツールはスキャンツールと呼ばれる専用端末や、PC・タブレット・スマートフォン等に「特定DTC照会アプリ」をインストールしたものを指します。検査用スキャンツールを車のOBDポートに接続すると車のECUに記録されている「故障コード(DTC)」が読み出されます。次に独立行政法人である自動車技術総合機構が用意したサーバーに読み出したDTCを照会して、故障の内容が特定のDTCであった場合は車検に不合格となるという仕組みです。特定DTCでない場合は車検に合格します。

この特定のDTCとは、運転支援システムや自動運転機能、そして排ガス関連装置に関する不具合を示すものを指します。

OBD検査はいつから始まる?

車の整備シーン

テストは2021年(令和3年)、本番は2024年(令和6年)から開始

OBD検査は2021年(令和3年)の10月から陸運局の検査場にてプレテストが実施されます。現在のところ希望者に対するテストであり、これによって車検に落ちるといったことはありません。このプレテストによって専用のスキャンツールやアプリでの診断、サーバーとの連携などが確認されることになっています。

国産車については2024年(令和6年)から実施されます。また、輸入車については2025年から検査が開始されます。
12ヶ月点検にも加えられたOBD点検
2021年(令和3年)10月1日からは、自動車の12ヶ月ごとの定期点検項目に「車載式故障診断装置(OBD)の診断の結果」が加わっています。OBD検査と同様にOBDに記録されている各種装置の故障や動作状況を読み出し、安全に走行できるかを確認する点検です。

OBD検査の対象は?

OBD検査の対象は2021年(令和3年)10月以降に登場した新型車になります。つまり現在お乗りになっているお車が2021年9月以前に登場した車種の場合は検査の対象外です。また輸入車については2022年(令和4年)10月以降に登場した新型車が対象となります。

OBD車検はどこで受けられる?

「検査用スキャンツール」を導入したところで車検を受けられる
機構が無料で提供する「特定DTC照会アプリ」をインストールして動作する専用のスキャンツールやPC、タブレット、スマートホンを導入するディーラーやカー用品店、整備工場、車検専門店であれば、従来通りに車検を受けることができます。また現在のテスト期間は専用ツールを導入するための期間でもあります。もちろんオートバックスにおいてもOBD検査に備えて車検体制を整えるのはもちろんのこと、OBD検査の結果によって求められる整備についても万全の対応を行えるよう準備してまいります。

OBD検査によるユーザーのメリット

OBD検査が導入されることによるドライバーのメリットは、目に見えない不具合についても適切に修理や整備ができるようになることです。従来の車検ではヘッドライトやウインカーなどの灯火類、タイヤやホイール、サスペンションなどの足まわり、フットブレーキやサイドブレーキの制動力、直進性、排ガスの濃度などといった項目をクリアすれば車検に合格しました。言い換えると、仮に衝突被害軽減ブレーキなどに不具合があっても車検にはパスすることになります。OBD検査が導入されれば、高度な運転支援システムに不具合があった場合に修理や整備を行うことが必須となりますので、より安全かつ安心して運転できるようになります。

またOBD検査とは異なるものに「エーミング」の存在があります。エーミングとは高度な運転支援システムといった電子制御による装置が正しく機能するように校正や調整を行う作業のことを指します。レーダーセンサーやカメラの向きが正しい方向や角度で取り付けられていないと運転支援システムが誤動作を起こす可能性があり、そういったことのないよう正しく機能するように取り付け位置などを調整する作業が一例として挙げられます。

センサーやカメラなどの動作と関わるバンパーやグリル、フロントガラスの脱着や交換のことを「電子制御装置整備」と言い、電子制御装置整備を行った際に必ずエーミングをしなければならい車両を「電子制御装置整備対象車両」と言います。電子制御装置整備対象車両に対して電子制御装置整備を行うには地方運輸局から「認証」されなければならないため、このような認証されたお店で受ける車検はユーザーにとっての安心材料の一つとなりそうです。

OBD検査の費用は? ユーザーの負担は?

山積みのコイン
OBD検査の導入によって「技術情報管理手数料」として1台あたり一律400円が法定手数料に追加されることになります。この技術情報管理手数料は、自動車各メーカーから提供される故障診断に必要な情報を管理し、全国の検査場(車検場)や整備工場などが利用する情報システムを運用していくための費用とされています。

もちろんOBD検査の結果特定DTCが検出されれば不具合を整備・修理する費用も必要になります。これは安全に走行するために欠かせない費用と言えます。
旧車

電子制御を備えない旧車も負担対象

技術情報管理手数料の一律400円の支払いは車検を受けるすべての車※に対して義務化されます。つまり電子制御などがまったく備わっていない旧車であったとしても支払わなければなりません。その理由は、運転支援システムといった先進の安全装置などの導入によって事故の低減が期待できるとされており、その恩恵はOBD検査の対象外となる車も享受できるからです。また本来なら複雑な検査になりかねないものの、OBD検査の新たな仕組みによって車検そのものがスムーズになることも車種や車齢を問わない全体のメリットとされています。
※小型自動車(二輪)、大型特殊自動車は除く

ユーザー車検はどうなる?

一般のドライバーが陸運支局に車を持ち込んで車検を受ける、いわゆるユーザー車検についてもOBD検査に合格しなければなりません。特定DTCツールを備えるところで事前にチェックする必要がありそうです。これによって従来よりユーザー車検の敷居が高くなる可能性があります。

まとめ

OBD検査とは、日々進化する車とそれを取り巻く環境に合わせて車検そのものの仕組みも進化させるために必要となるものです。現在、プレテストを通じて仕組みそのものの検証が行われており、その結果に応じて変更される可能性もあります。現在のところ専用の法定スキャンツールが必要になるからといって正規ディーラー以外では車検が受けられなくなるといった心配はありません。オートバックスにおいても最新の設備を整え、皆さまのカーライフがより安全で安心できるものとなるよう車検整備の体制を拡充してまいります。

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