車を売却したら税金はかかる?所得税や還付金について解説
車を買取業者などに売却すると、手元に大きなお金が入ってきます。このお金に税金がかかるのでは?確定申告は必要?と心配になる人もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、車の売却時にかかる可能性のある税金や、所得税が生じる場合の計算方法のほか、還付金などのお金が戻ってくるケースについて解説します。
車の売却時にかかる可能性がある税金

車の売却時には、3種類の税金が発生する可能性があります。
自動車税種別割・軽自動車税種別割
自動車税種別割は、毎年4月1日時点で車検証上の車の所有者が課税対象となる税金で、車の排気量などに応じて税額が決まります。なお、軽自動車を所有している場合は軽自動車税種別割がかかり、こちらも毎年4月1日時点での所有者に課税されます。
これらの税金は、1年分をその年の5月頃に前もって納めます。4月1日時点で車を所有しており、4月中に車を売却した場合でも、原則として納税しなければなりません。
所得税
所得税は、会社から給与を受け取ったり、個人事業によって収入を稼いだりした場合などに課せられる税金です。このとき、収入から所得控除額や必要経費にあたる金額を差し引いたものが、課税対象となる「所得」の金額です。1年間(1月1日~12月31日)の所得が一定金額を超えた場合、所得に対して定められた税率を掛けた所得税を納めることになります。
車を売却した際に、売却によって得た金額が購入価格よりも高かった場合、その差額(譲渡所得)に対して所得税の課税対象とする可能性があります。
ただし、すべての車の売却に所得税がかかるわけではありません。詳しくは後述します。
消費税
消費税は、商品の販売やサービスの提供といった、消費に対して課せられる税金です。車の売却に際して消費税がかかるかどうかは、売り手の立場によって大きく異なります。
基本的に、個人が自家用の車を売却する場合、消費税はかかりません。また、車の個人売買においても、消費税は課税されません。これは、個人売買が事業として行われていないからです。
個人事業主や法人などの事業者の立場で、業務用として使っていた車を売却する場合は、消費税の課税対象となる可能性があります。
具体的には、課税売上高が1,000万円を超える課税事業者だった場合、車の売却額に対して消費税が生じます。
車の売却で所得税がかかるケース

車を売却し、その売却金額が購入金額を上回って利益が生じると、所得税の課税対象となる場合があります。
車は使用年数や走行距離に伴って価値が低下し、購入時より安い価格になる傾向があるため、そのようなケースは一般的な中古車取引において、ほとんど起こりません。しかし、車の用途次第では、所得税の課税対象となる場合があるので注意が必要です。
ここでは、車の売却で所得税がかかるケースについて解説します。
業務用の車を売却した
業務用として使っていた車を売却する場合は、所得税がかかる可能性があります。
例えば、個人事業主が業務用の車を売却した場合、その売却で得た利益は「譲渡所得」として扱われ、課税対象となるでしょう。これは、事業所得とは別の所得区分となるため、確定申告の際には注意が必要です。
法人が所有する業務用の車の売却は、法人資産の譲渡として扱われます。売却価格から帳簿価額などを差し引いて得られた利益である「固定資産売却益」は、法人税の課税対象です。
レジャー用の車を売却した
レジャー用の車とは、普段の通勤・通学や買い物などに使わない車を指します。具体的には、週末のみ運転するような趣味性の高いスポーツカーや、年に数回程度しか使わないキャンピングカーなどです。
国税庁の「譲渡所得の対象となる資産と課税方法」によれば、通勤用の自動車については、家具や衣服などのように「生活に通常必要な動産」として扱っています。したがって、譲渡による所得について課税されないと記載されています。
一方で、レジャー用の車は生活用動産ではないため、売却して利益を得た場合、所得税の課税対象となる可能性が高くなるのです。
車の売却時の譲渡所得の計算方法

業務用またはレジャー用の車の売却時に利益を得て、譲渡所得が0円を上回る場合には所得税がかかります。譲渡所得は下記のような計算式で算出します。
<車の売却時の譲渡所得の計算式>
譲渡所得=売却金額-取得価額-特別控除額
「特別控除額」は、譲渡所得を計算する際に控除できる金額です。車の場合は、50万円と定められています。この特別控除があるため、もし、譲渡によって得た利益(売却金額-取得価額)が50万円以下であれば、所得税はかかりません。
ちなみに、業務用の車を減価償却中に売却した場合には、売却金額から取得価額と減価償却累計額、特別控除額を差し引いたものが譲渡所得となります。
例として、350万円で購入したレジャー用の車を、500万円で売却できた場合を考えてみましょう。この場合、譲渡所得は下記のようになります。
<350万円で購入したレジャー用の車を500万円で売却した場合の譲渡所得>
500万円-350万円-50万円=100万円
譲渡所得は100万円となりますので、所得税の課税対象です。所得税が発生すると、確定申告が必要になります。
なお、車の所有期間によって、譲渡所得の税率が異なる点に注意してください。所有期間が5年以下の場合は「短期譲渡所得」、5年超の場合は「長期譲渡所得」として区分されています。長期譲渡所得の場合は、譲渡所得の2分の1に対して課税されます。
上記の例において、車の所有期間が5年を超えていた場合、譲渡所得100万円の2分の1にあたる50万円に課税される仕組みです。
車の売却で戻ってくる可能性があるお金

車を売却した場合、すでに納付した「自動車税種別割」と、購入時に支払った「自動車リサイクル料金」が返金される可能性があります。
自動車税種別割
年度途中で車を抹消登録した場合、その翌月から年度末(3月)までの未経過分の自動車税種別割が還付されます。ただし、住民税などの地方税を滞納していないことが条件として挙げられます。
自動車税種別割の還付金は、下記の計算式で算出可能です。
<自動車税種別割の還付金の計算式>
還付金=年間の自動車税種別割の税額÷12ヶ月×未経過月数
例えば、年間の自動車税種別割が3万6,000円の自家用乗用車(登録車)を7月に抹消登録した場合、8月から翌年3月までの8ヶ月分、2万4,000円が還付されます。
なお、車を抹消登録せずに買取業者などに売却した場合、自動車税種別割の還付金に相当する金額を、買取業者が買取金額に上乗せして提示する場合があります。
このサービスに法的な義務はないものの、「1年分の税金をまえもって納めているのに」というユーザーの不公平感を解消するために行われている傾向があるのです。
自動車リサイクル料金
自動車リサイクル料金とは、自動車リサイクル法にもとづいて車を解体・廃棄する際にかかる費用を、新車購入時に支払うものです。
まだ抹消登録をせずに車を売却する際には、買取業者から提示された買取価格に自動車リサイクル料金が上乗せされているため、実質的には返金を受けていると考えることができるのです。
ちなみに、自動車リサイクル料金の金額は車種によって異なり、一般的には6,000円から1万8,000円程度となっています。
車の売却時の注意点

車を売る際には、税金に関していくつか気をつけたいことがあります。最後に、車の売却時の注意点について解説します。
自動車税が未納の場合は売却できない
車を売却する際に注意したいのが、自動車税種別割と軽自動車税種別割の納付状況です。これらの税金が未納だった場合、売却手続きを進めることができません。
自動車税種別割と軽自動車税種別割は、多くの自治体で5月上旬頃に納税通知書が送付され、納付期限は5月末です(一部自治体の納付期限は6月)。この税金を滞納していると、各都道府県(軽自動車税は各市区町村)の税事務所から督促状が送られてきます。また、延滞金も加算されます。
さらに、督促状に記載された納付期限を過ぎても未納だった場合、財産の差し押さえなどの処分を受けることがあるので、注意が必要です。
特に気をつけたいのは、通学・転勤に伴う引越しなどで住所変更をしている場合でしょう。自動車税種別割と軽自動車税種別割の納税通知書は、4月1日時点での住所に送付されるため、引越し先に納税通知書が届かず、気づかないうちに未納状態になっていることがあるからです。
個人売買ではどちらが税金を負担するか決める
車を個人間で売買する場合、売り手と買い手のあいだで税金の負担をどちらがするかを決める必要があります。これは、個人売買において、税負担に関する明確なルールが存在しないからです。
例えば、毎年4月1日時点での所有者に1年分が課税される自動車税種別割は、5月頃に1年分をまえもって納めます。7月に車を売却する場合、売り手は4月から7月までの期間に実際に使用していただけですが、1年分の税金をすでに納付済です。
一方で、買い手は譲渡された7月から翌年3月までの期間、税金を負担せずに車を使用することになります。この場合、売り手が不満を感じ、トラブルに発展するおそれもあるので注意しましょう。
トラブルにならないようにするためにも、個人売買における税金については、売却時に下記のように条件を定めて行うのがおすすめです。
<車の個人売買時の税負担分担例>
・自動車重量税:売り手が負担
・自動車税種別割:月割り分を買い手が負担
・自賠責保険料:売り手が負担
・自動車リサイクル料:買い手が負担
軽自動車税種別割には還付制度がない
軽自動車に関しては、軽自動車税種別割の還付制度がありません。これは、年度途中で抹消登録すれば、自動車税種別割が月割りで還付される普通自動車と異なる点です。
そのため、年度途中に軽自動車を抹消登録しても、軽自動車税種別割の未経過分が戻ってくるわけではない点に注意してください。年度末近くに軽自動車を手放す予定があるなら、軽自動車税種別割が課される前の3月中に手続きをしましょう。
車の売却はオートバックスカーズにお任せください

車の売却において、売却金額が購入金額を上回って利益が生じると、所得税の課税対象となる場合があります。ただし、普段使い用の車を所有している個人の場合には、ほとんど関係がありません。
車の売却においては、個人売買のような方法があるものの、税金の負担などに関してトラブルになるおそれもあります。そこで、車を売却する際には、信頼できる買取業者に依頼するのがおすすめです。
オートバックスカーズは車の引取業登録をしておりますので、安心して車を売却いただけます。車の売却をご検討の際は、ぜひオートバックスカーズをご利用ください。