車の買取業者との契約はキャンセルできる?法律的な観点から解説
車の売却において、後から査定を受けた買取業者の提示価格が高かった場合、先に査定を受けた買取業者と交わした契約をキャンセルすることはできるのでしょうか。このようなとき、一定期間内であれば無条件で契約解除できる「クーリング・オフ制度」が適用されるはず、と思う人もいるかもしれません。
この記事では、車の買取契約後のキャンセルの可否について法律的な観点で解説するほか、キャンセルできる可能性があるタイミングとキャンセルが難しいケースについてもご紹介します。
車の売買契約締結後は法律的にはキャンセルできない

結論からいえば、買取業者と車の売買契約を締結したあとでは、キャンセルはできません。契約を交わした時点で、法的拘束力が生じます。
この理由として、「クーリング・オフ制度」が車の売買において適用されないことが挙げられます。クーリング・オフとは特定商取引法という法律で定められた制度であり、契約から一定期間内は無条件で契約を解除できるものです。四輪自動車については、特定商取引法第26条3項1号の施行令で、クーリング・オフの適用対象外と明記されています。
クーリング・オフの対象となるのは、主に下記の取引と期間です。
■クーリング・オフの対象となる取引と期間
取引名 | クーリング・オフ期間 |
---|---|
訪問販売 | 8日間 |
電話勧誘販売 | |
特定継続的役務提供 | |
連鎖販売取引 | 20日間 |
特定商取引法では、クーリング・オフの対象となる取引には「勧誘時の不意打ち性」や「取引の覆面性」などの要素が含まれていることが前提とされています。そのため、不意打ち性が低い通信販売や、消費者が自分で店舗に出向いて契約を結ぶ場合などは、クーリング・オフの適用対象外となっています。
車の売買は、売り手がみずからの意思で買取業者に依頼し、自宅などで出張査定してもらうものです。したがって、査定価格に同意してから契約した車の売買については、不意打ち性や覆面性がなく、適用の対象にならないというわけです。
口頭での約束も契約成立に含まれる場合がある
車の売買は、書面での契約でなくても、契約が成立する可能性があります。これは、民法第522条において「契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する」と定められているのが理由です。
そのため、下記のような口頭でのやりとりにおいても、契約成立とみなされる場合があります。
<口頭契約が成立するケース>
・査定価格の提示に対して「その金額で売ります」と口頭で同意した
・電話での価格交渉で合意に達した
ただし、現実的には口頭で契約成立することは少なく、現在の中古車取引においては、契約書(車業界では注文書と呼ばれる)を作成して契約することが一般的です。反対にいえば、口頭契約で済まそうとする買取業者との取引は避けるべきでしょう。
車の買取業者との契約をキャンセルできる可能性があるタイミング

車の買取業者との契約後も、いくつかのタイミングでキャンセルできる可能性があります。ここでは、車の買取業者との契約をキャンセルできる可能性があるタイミングについて解説します。
契約書に記載されたキャンセルの猶予期間内
契約書にキャンセルの猶予期間が記載されていれば、その期間内ではキャンセル可能となります。例えば「契約日から5日以内であれば無料キャンセル可能」などと書いてある場合です。
ただし、これは法的義務があるわけではなく、一部買取業者のサービスとしての対応となるため、すべての買取業者との契約に共通するものではありません。
また、猶予期間内でも違約金(キャンセル料)が発生する場合もあります。契約書のキャンセル規定については、契約成立前に事前の確認が必要です。
車と契約書類を引き渡す前
契約書にサインしたあとでも、車と契約書類を引き渡す前であれば、契約のキャンセルができる場合があります。
一般社団法人自動車公正取引協議会は、契約書の定型的な条項である約款において「契約の成立時期」が下記のうちいずれか早い日に当てはまる場合は、サインや捺印をしていても、キャンセル可能としています。
<契約の成立時期の例>
・登録がなされた日
・注文に基づく修理、改造、架装等に着手した時
・車の引き渡しが行われた日
出典:中古車購入時こんなときどうする? | 自動車公正取引協議会
なお、オートバックスでも、車の引き渡し前であれば、契約成立後であっても無条件にキャンセルが可能です。
車の買取業者との契約のキャンセルが難しいケース

車の買取業者と契約後は、キャンセルできないことがほとんどなので注意が必要です。ここでは、車の買取業者との契約キャンセルが難しいケースについて解説します。
契約書上のキャンセル猶予期間を超過した
契約書に記載されたキャンセル関連条項における猶予期間を超過した場合、売買契約のキャンセルは難しいといえるでしょう。猶予期間は必ず期限があるため、契約時に十分な確認をしておく必要があります。
車と契約書類を引き渡した
車と契約書類を引き渡したあとでは、契約のキャンセルはできません。前述のように、自動車公正取引協議会でも「車の引き渡しが行われた日」を契約成立時期とみなすとしているのがその理由です。
業者オークションに陸送・出品された
買取業者は通常、中古車を買い取ったら、古物商許可証を持つ業者専用の中古車オークションに陸送し、出品した上で取引を行います。既にオークション会場に運ばれた車については、売買契約をキャンセルすることは基本的に不可能です。
買い手が決定した
買取業者が引き取った車に、すぐに次の買い手が付くことがあります。これは、買取業者が車を中古車オークションに出品し落札されたケースなどです。
このようなケースでは、買い手はもちろん買取業者へも大きな損害を与えることから、キャンセルはできないと考えるのが妥当でしょう。
車の買取業者との契約キャンセルで請求される違約金

車の売買契約を一方的にキャンセルした場合、買取業者やキャンセルするタイミングによっては、違約金(キャンセル料)が発生します。これは、既に下記のような費用負担が生じており、その損害を買取業者に与えたことによるものです。
<車の売買契約破棄で違約金が発生する理由となる業者負担の例>
・店舗や中古車オークション会場への車両の陸送費や保管料
・書類手続きやクリーニング、メンテナンスにかかった費用
・車両の中古車オークション出品料
違約金の金額の相場は、売買契約で決まった金額の10〜20%程度です。または、実際に発生した費用が請求されます。
ただし、消費者契約法第9条第1号では、買取業者が受けた平均的な損害額を超える違約金は無効とされているものの、中には法外な違約金や損害賠償金額を請求する買取業者もあるのも事実です。
車と必要書類がまだ手元にあるにもかかわらず、買取業者に法外な金額を請求された場合は、消費者生活センターや一般社団法人日本自動車購入協会(JPUC)に相談することをおすすめします。
JPUCでは、違約金を請求された場合、下記のような対応を推奨しています。
<買取業者に法外な違約金などを請求された場合の対応>
・契約書の約款で違約金条項がある場合、法外な設定になっていないかを確認する
・どのような項目にどのくらい実費がかかったのか違約金の算出根拠提示を求める。提示できない場合は支払えないことを主張する
・実費の根拠を提示された場合は、平均的な損害額を超えていないか確認する
車の売却でトラブルにならないようにする方法

車の売却において、買取業者とトラブルが起きるのは、できる限り避けたいところです。車の売却でトラブルにならないようにするには、主に次のような方法が挙げられます。
<車の売却でトラブルにならないようにする方法>
・複数の買取業者に対して見積もりをとる
・査定金額に納得し、売却意思をしっかりと固めてから契約する
・約款やキャンセル猶予期間を確認しておく
・信頼できる買取業者に売却する
車を売却する際には、多くの買取実績があり、顧客満足度で高い評価を得ている買取業者に依頼するのが最も安心といえるでしょう。
車を売却するときの流れについては、下記の記事もご覧ください。
車の売却はオートバックスカーズで

車の売買契約を交わしたあとに、一方的にキャンセルすることはできません。特に、車と必要書類を引き渡したあとのキャンセルは、違約金などが生じるトラブルになる場合があります。契約をキャンセルしないようにするには、複数業者に見積もりを依頼した上で、納得のいく査定金額を提示してくれる買取業者に売却するようにしてください。
また、車を売る際には、信頼と実績のある買取業者を選ぶことが大切なポイントです。オリコン顧客満足度®ランキング 車買取会社「担当者の接客力」で6年連続No.1の評価を受けているオートバックスカーズは、安心していただける車買取を実施しております。
オートバックスカーズの車買取は、特許取得の査定システム「査定Dr.」で査定を行い、買取見積を書面で発行します。さらに、じっくりと売却の検討をしていただくために、査定価格を5日間保証している上、車の引き渡し前であれば、契約成立後でもキャンセルが可能です。
車の買い取りをご検討の際は、ぜひオートバックスカーズの車買取をご利用ください。