タイヤの偏平率とは?変更するメリット・デメリットと計算方法を解説

車のタイヤの偏平率は、タイヤの断面における高さと幅の比率です。偏平率を下げることで横から見たときのタイヤは薄くなり、見た目のスタイリッシュさが増します。一方で、乗り心地や操縦安定性などに影響を及ぼすこともあるので、タイヤの偏平率を変更する際には注意が必要です。

この記事では、タイヤの偏平率と計算方法のほか、偏平率を上げる場合と下げる場合のそれぞれのメリット・デメリットについて解説します。

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タイヤの偏平率とは、タイヤの断面高さと断面幅の比率のこと

タイヤの偏平率とは、タイヤの断面における高さ(断面高さ)と幅(断面幅)の比率のことです。偏平率が低いほど、横から見たときにタイヤの側面部分(サイドウォール)は薄く見え、反対に偏平率が高いと、タイヤは厚く見えます。

一般的に、乗用車のタイヤは40~70%の偏平率です。ただし、性能や用途に応じて、偏平率を上げたり下げたりすることができます。タイヤの偏平率を変更するときは、ホイール径はそのままで、タイヤの外径を合わせる「セイムリム」という方法もあるものの、多くの場合、ホイールサイズも同時に変更することになるでしょう。

ホイールの直径を小さくし、相対的にタイヤを厚くして偏平率を上げる(数値を高くする)方法は、「インチダウン」と呼ばれます。反対に、ホイールの直径を大きくしてタイヤを薄くすることで偏平率を下げる(数値を低くする)方法は、「インチアップ」という名称が一般的です。

なお、偏平率を低くした低偏平タイヤは、「ロープロファイルタイヤ」などと呼ばれています。これは、タイヤの断面形状である「Profile(プロファイル)」の薄さが由来です。一般的には偏平率が55%以下のタイヤについては、ロープロファイルタイヤに分類されています。

ちなみに、近年はスタイリッシュな見た目になることもあって、さまざまな車種・グレードにおけるロープロファイル化(大径ホイール化)が進んでいます。

タイヤの偏平率の計算方法

タイヤの偏平率は、下記のような計算式で導き出すことができます。

<タイヤの偏平率の計算式>
偏平率=タイヤの高さ(断面高さ)÷タイヤの幅(断面幅)×100

タイヤ側面のゴム部分である「サイドウォール」には、「205/55R16」といったタイヤサイズが表記されています。この表記の中で「55」の部分が偏平率を表しており、タイヤの断面における高さが、幅の55%という意味です。

なお、「205」はタイヤの幅で、単位はmm、「R」はラジアル構造のタイヤであることを示しています。「16」はホイールの直径(リム径)で、こちらはインチ表示です。

タイヤの偏平率を上げるメリット

タイヤの偏平率を上げると、経済性や快適性の面でメリットがあります。タイヤの偏平率を上げるメリットについて、詳しく見ていきましょう。
乗り心地が良くなる
タイヤの偏平率を上げるメリットとして、乗り心地の向上が挙げられます。これは、高偏平タイヤのサイドウォールが厚くなり、路面からの衝撃を吸収するクッションとしての役割を強化できることが理由です。高偏平化によって、段差や凹凸を通過する際の衝撃が緩和され、車内で感じる振動は減少します。

車内に伝わる振動や衝撃低減に伴う乗り心地の向上は、長距離ドライブでの疲労を軽減するというメリットも得られるでしょう。
タイヤの購入費用が安くなる
タイヤ自体の購入費用が安くなることも、タイヤの偏平率を上げるメリットといえます。

一般的に、同一メーカーで同じブランドや同じグレードのタイヤであれば、偏平率が高くなるほど価格も安くなる傾向があります。また、大径ホイールほど価格が高くなる傾向があるため、ホイール径を小さくすることでさらなるコスト削減が可能です。

タイヤの偏平率を上げるデメリット

タイヤの偏平率を上げるのは、いくつかのデメリットも存在します。続いては、タイヤの偏平率を上げることで起こるデメリットについて解説します。
操縦安定性は比較的低くなる
タイヤの偏平率を上げるデメリットに、操縦安定性の低下も挙げられます。高偏平タイヤはサイドウォールが厚いため、コーナリング時にタイヤがたわんだりよじれたりといった変形をしやすくなります。この変形によって、ステアリング操作に対する応答性が遅れ、車全体の動きに鈍さを感じる傾向があるのです。

また、高偏平タイヤは、高速走行時やブレーキング時の安定性にも、少なからず影響を与えることがあります。車に俊敏な動きを求めるドライバーには、タイヤの偏平率を上げることにより、ストレスを感じるかもしれません。

さらに、タイヤの偏平率を上げることで、新車時の性能が100%発揮されない場合があります。例えばブレーキ性能の低下や、カーブでのロールや振り返しが悪化することがあります。また、最近の車はブレーキも大型化している車種もあるため、ホイールとブレーキが接触することもあります。
見た目のスタイリッシュさに欠ける
タイヤの偏平率を上げるデメリットのひとつに、見た目の印象の変化が挙げられるでしょう。現代の車のデザインでは、大径ホイールと低偏平タイヤの組み合わせが人気であり、このスタイリッシュで迫力のある見た目を好むユーザーが多いのも事実です。

インチダウンによる高偏平化で、小径ホイールと高偏平タイヤに変更すると、ボディとタイヤのあいだにある空間の「ホイールハウス(タイヤハウス)」内に占めるホイールの割合が小さくなります。これによって、タイヤのサイドウォール部分の厚みが目立つようになり、車の見た目においてスタイリッシュさが欠けると感じるかもしれません。

タイヤの偏平率を下げるメリット

タイヤの偏平化には、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、タイヤの偏平率を下げるメリットについて解説します。
操縦安定性が向上する
タイヤの偏平率を下げると、一般的に操縦安定性の向上が期待できます。車で俊敏な走りを楽しみたいユーザーにとっては、見逃せない要素といえるでしょう。

操縦安定性が向上するのは、サイドウォールが薄い低偏平タイヤは、コーナリング時に横方向の変形が少ないことに起因します。これにより、ステアリングの操作に対する応答性が向上し、例えばカーブを曲がる際に、車の動きがよりドライバーの意図に沿ったものになるのです。

また、低偏平タイヤによって、高速道路での巡航時やレーンチェンジ時の操縦安定性が向上します。この特性は、特に高速走行域でのドライバーの疲労軽減にもつながるものです。
ブレーキング時に安定する
タイヤの偏平率を下げるメリットとして、車のブレーキング性能の向上が挙げられます。これは、低偏平タイヤのサイドウォール部分の剛性は、高いことが理由です。ブレーキング時にタイヤはたわみますが、低偏平タイヤはこの変形が少なく、タイヤの接地面積が大きいため、安定して止まることができるでしょう。

結果として、ブレーキング時の車体は安定し、ステアリング操作の反応も良くなるため、緊急時における回避行動もしやすくなります。
薄くなったタイヤで見た目が良くなる
タイヤの偏平率を下げるメリットのひとつに、車の見た目がスタイリッシュになることが挙げられるでしょう。

低偏平タイヤは、タイヤのサイドウォールが薄くなるため、ホイールの大きさやデザインがより強調されます。ホイールハウス内でホイールの占める割合が大きくなることで、車全体を引き締める効果があるのです。特にスポーツカーの場合は、タイヤの偏平化には大きな効果があるといえます。

タイヤの偏平率を下げるデメリット

タイヤの偏平率を下げることでメリットがある一方、いくつかのデメリットもあります。最後に、タイヤの偏平率を下げるデメリットについて解説します。
乗り心地が悪くなる
タイヤの偏平率を下げた際に、体感しやすいデメリットが乗り心地の悪化です。低偏平タイヤの乗り心地の悪さは、サイドウォールの薄さに起因します。この構造的特性から、路面の凹凸による衝撃や振動を車内に伝えやすくなるのです。

舗装状態の悪い道路や段差などで振動を感じるほか、車内の静粛性も低下します。特に、長距離ドライブでは疲労が蓄積しやすくなり、運転時の集中力低下につながる可能性があるので注意してください。
タイヤバーストのリスクが高くなる
低偏平タイヤはタイヤ内の空気の絶対量が少なく、空気圧も下がりやすいのが特徴です。さらに、サイドウォールの薄さもあり、ダメージの影響を受けやすい構造といえます。そのため、タイヤの偏平率を下げることで、タイヤバーストのリスクは高まるといえるでしょう。

タイヤバーストは走行中のタイヤの急な破裂であり、空気圧不足やタイヤの傷・ひび割れによって発生します。タイヤバーストに遭遇するとコントロール不能となり、大きな事故を起こしかねません。

偏平率を下げたタイヤでタイヤバーストを防ぐには、適正空気圧を維持するための、こまめなチェックが必要です。
タイヤの購入費用が高くなる
タイヤの偏平率を下げることで、タイヤの購入費用が高くなるのもデメリットといえます。低偏平タイヤは同じサイズの高偏平タイヤに比べて薄い分、高い剛性を確保しなければなりません。そのため、製造に高いコストがかかり、低偏平タイヤの価格が高くなるのです。

また、人気があるとはいえ、低偏平タイヤは市場での需要が比較的少ないことも、価格を押し上げる要因といえます。特に、偏平率の低いタイヤは製造数が限られるため、価格も高くなる傾向があるでしょう。

タイヤの偏平率を変えたい場合は、オートバックスに相談しよう

タイヤの偏平率は高さと幅の比率であり、自由に変更可能です。偏平率を下げるインチアップによって、操縦安定性が向上したり、ブレーキング時に安定したり、見た目もスタイリッシュになります。

信頼できるカー用品店などに相談し、自分の車やライフスタイルに合った適切なタイヤの偏平率にしましょう。

オートバックスでは、タイヤ点検・交換をはじめ、タイヤのも対応可能です。さまざまなサマータイヤ・スタッドレスタイヤを豊富に取り揃えており、作業ピットも併設しているため、タイヤの購入費用を抑え、タイヤ交換にかかる時間の短縮も可能となっています。

また、偏平率の変更時にどのタイヤを選べばいいのかわからないといった場合でも、専門知識を持ったスタッフに相談できるので、ネット通販のように買い間違えるリスクが格段に低くなります。コストパフォーマンスが高くて安全・安心なタイヤを選ぶなら、ぜひオートバックスにご相談ください。

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