PCDとは?変更方法と車のホイール選びのポイント
PCDとは、ボルトを通す穴の中心を結ぶ円形の直径のことです。車のホイールを交換してドレスアップする場合、このPCDなどホイールに関わる用語や変更方法をしっかりと理解しておかなければなりません。また、ホイールの選び方についてもポイントを押さえておきましょう。
この記事では、ホイールのPCDの意味やホイールに関する用語のほか、PCDの種類と変更方法を解説。さらに、ホイール選びのポイントについて解説します。
ホイールのPCDとはボルト穴の中心を結ぶ円形の直径のこと
ホイールのPCDは、「Pitch Circle Diameter(ピッチ円直径)」の頭文字をとった略称で、ピッチサークルとも呼ばれます。
車のホイールには、ホイールを車体に取り付けるためのボルトを通す穴が、等間隔で4~6つ開いています。その穴の中心を結ぶと、円の形が浮かび上がってくるはずです。この円形の直径が、PCDです。
ボルトを穴に通し、車体側とホイール側をしっかりと結合するためには、双方のPCDの数値(円形の大きさ)が一致している必要があります。それぞれのPCDが一致していなければ、車にホイールを装着することができません。
なお、PCDの数値は一般的に小型車だと小さく、大型車ほど大きいものになります。(例:100mm→114.3mm→120mm→139.7mmなど)
ホイールに関する用語
PCD以外にも、車のホイールに関してはさまざまな用語があります。ここでは、ホイール交換に際して覚えておきたい用語について解説します。
リム径
リム径とは、タイヤを取り付けていないホイール自体の直径のことです。ホイールの外縁部分を「リム」といい、ホイールの直径は、基本的にインチ(1インチ=約2.54cm)で表します。
例えば「17インチホイール」というサイズであれば、ホイールの直径は約43cmということになります。
リム幅
リム幅は、ホイールの横幅(奥行き)を指す用語です。タイヤを取り付ける部分の幅を、インチで表します。
具体的には、「6.5(6 1/2)」や「9」といったように表示します。リム幅が6.5の場合、ホイールの横幅が6.5インチ(約16.5cm)という意味です。リム幅が広いほど、幅の広いタイヤを装着できます。
インセット
インセットは、リム幅の中心線から車に取り付ける面(取付座面)までの距離のことで、ミリメートル(mm)で表されるものです。かつては「オフセット」と呼ばれていましたが、現在は国際基準に合わせ、インセットで統一されています。
インセットの数値が大きいほど、ホイールが車体の内側寄りになり、数値が小さければ車体の外側寄りになります。ホイールのインセットを「45」から「40」に下げれば、ホイールが5mm外側に出るので迫力のある見た目になるでしょう。
ただし、タイヤが車体に干渉したり、車体からはみ出したりしないようにする必要があります。
ハブ径
ハブ径は、車体とホイールを固定するホイールの中心部分に開いた穴の直径を指し、「センターボア」とも呼ばれます。
ホイールを交換する際には、車体の「ハブ」と呼ばれる部分にハブ径を合わせる必要があります。ハブ径が合っていないと、ホイールとのあいだに隙間ができ、ブレや振動の原因となるので注意しましょう。
隙間がある場合には、「ハブリング」という部品をかませて、隙間を埋めなければなりません。
フランジ
フランジは、ホイールの一番外側にある「耳」のような縁の部分です。タイヤのビード(端の部分)をしっかり押さえ、タイヤが外れないようにする役割があります。
フランジは「J」「JJ」や「B」といったアルファベットで表示されています。アルファベットはフランジ形状の規格を意味するものです。リム幅の数値といっしょに、「6.5(6 1/2)J」や「9JJ」といった形で表記されるのが一般的です。
ナット・ボルト
ナットやボルトは、ホイールを車体に取り付けるための留め具です。日本車はナットでホイールを固定するタイプが多いですが、輸入車の場合はボルトで固定するタイプが多い傾向があります。
ナットのサイズは「M12×P1.5」などと表示します。一般的なハブボルトの直径はM12で、12mmを意味します。また、P1.5はねじ山のあいだの幅をピッチとして、その間隔が1.5mmという意味です。
さらに、ナット形状には貫通型と袋型があり、ホイールとの接地面に合わせてテーパー座、球面座、平面座の3種類から選ぶ必要があります。材質も、アルミやチタンなどいくつかの種類があります。
ホイールのPCDの種類
ホイールのPCDには、いくつかの種類があります。ここでは、ホイールのPCDの種類を解説します。
日本車のPCDの種類
日本車のPCDは、主に下記の2種類となっています。
<日本車のPCDの種類>
・PCD100
・PCD114.3
日本の自動車メーカーが生産する車においては、軽自動車や小型乗用車はPCD100(100mm)で、それより車体が大きな乗用車はPCD114.3(114.3mm)です。
ただ、近年は大型車やSUVタイプの車に対し、PCD120(120mm)やPCD139.7(139.7mm)、PCD150(150mm)を採用している場合もあります。
輸入車のPCDの種類
輸入車はPCDの種類が日本車より多くなる傾向があるので注意が必要です。具体的には、下記のような種類があります。
<輸入車のPCDの主な種類>
・PCD110
・PCD112
・PCD120
・PCD130
このような種類の違いは、自動車メーカーや車種ごとに異なるからです。例えばPCD112(112mm)はメルセデス・ベンツやアウディのほか、フォルクスワーゲンといったドイツの自動車メーカーで多く使われています。
同じドイツのメーカーのBMWは、主にPCD120(120mm)を採用していましたが、現在はPCD112にシフトしている傾向があります。また、PCD130(130mm)は、ドイツの自動車メーカーであるポルシェで主に採用されているものです。
異なるPCDのホイールの装着方法
装着を検討しているホイールのPCDが、車体側のPCDと一致しない場合、どのようにしたらいいのでしょうか。ここでは、異なるPCDのホイールを装着する方法について解説します。
PCD変換スペーサーを使う
PCD変換スペーサーは、車体側のハブとホイールのあいだに取り付け、異なるPCDのホイールを取付可能にする部品です。PCDを変えられるので、多様なサイズのホイールを選ぶことも可能です。
ただし、PCD変換スペーサーは部品自体に厚みがあるぶん、ホイールのインセットに影響が生じ、車検に通らないリスクも生じます。また、PCD変換スペーサーが適合しない車種もある点に注意が必要です。
ホイールを加工する
ホイールを加工することで、PCDを変更することも可能です。
例として、PCD120のホイールにPCD100の穴を追加で開けます。これによって、PCD100の車体でもホイールを装着できるでしょう。
ただし、ホイールの加工には専門技術と高額な費用がかかります。また、ホイールによっては加工できない場合も想定されます。さらに、加工後に安全性の問題が生じたり、車検に対応できなかったりする場合もあるので注意が必要です。
ホイール選びのポイント
ホイール交換にあたっては、選び方に気をつけましょう。PCDなどが適合しないホイールを選ぶと、さまざまなトラブルの原因となるからです。
最後に、ホイール選びのポイントについて解説します。
ホイールのサイズに注意して選ぶ
ホイール選びの際には、タイヤの外径やPCDのほか、リム径・リム幅といったホイールのサイズに注意する必要があります。
例えば、リム径とタイヤサイズが合っていないと、タイヤは正しく装着できません。また、リム幅が広すぎるホイールは、車体に干渉または車体からはみ出すおそれがあります。
さらに、インセットも重要な要素です。インセットの数値が小さすぎると車体の外側にはみ出し、車体に干渉する可能性が高まるだけでなく、車検に通らないおそれもあるからです。
ホイールの構造に注意して選ぶ
ホイール選びの際には、ホイールの構造に注意しましょう。ホイールの構造は、主に下記の3種類に分けられます。ホイール表面の皿部分「ディスク」とリムを分けられるほうが、デザインの自由度が高くなります。
■ホイールの種類と構造・特徴
種類 |
構造 |
特徴 |
1ピース |
ディスクとリムが一体成型 |
製造コストが比較的安く、軽量で剛性も高いため、量産車やスポーツ用途に多く使われる。ただし、デザインやサイズの自由度は低い。 |
2ピース |
ディスク+リム(アウター/インナー一体)をボルトで接合 |
インセットやリム幅をある程度調整可能。デザインの自由度が高く、仕上げの選択肢も豊富。価格は1ピースより高め。剛性は構造と接合精度に依存する。 |
3ピース |
ディスク+アウターリム+インナーリムをボルトで接合 |
最もカスタマイズ性が高く、インセット・リム幅・ディスク形状を細かく設定できる。高価格帯で、構造的に気密性や剛性確保のための高い製造精度が求められる。 |
1ピースに比べ、2ピースや3ピースは複数の部品(ピース)で構成されており、デザイン自由度は上がります。ただし、価格が高くなる点に注意が必要です。
さらに、ディスクが内側に入り込んだ「深リム対応タイプ」や大型のブレーキキャリパーを装着できる「ビッグキャリパー対応タイプ」など、さまざまな種類があります。プロの整備スタッフに相談して、愛車に合うホイールを選ぶようにしてください。
保安基準適合品を選ぶ
アルミホイールについては、必ず国土交通省の定める保安基準に適合したものを選ぶことが大切です。
国土交通省が定めた基準をメーカーが自主認定したJWL(国土交通省の乗用車用軽合金製ホイールの技術基準)の認証マークがある製品は、国が定める安全性の基準を満たしています。
さらに、JWL基準に適合していることを業界団体であるJWTC(軽合金製ホイール試験協議会)が試験で確認した製品には、「VIA」マークが付与されます。VIAマークは、JWL基準を第三者的な試験機関によって検証された証といえます。
これらの基準を満たしていないホイールは、車検に通らなかったり、走行中にトラブルが起きたりするリスクがあるので注意してください。
PCDがマッチしたホイール選びはオートバックスで
車のホイールのPCDは、いくつかの種類がある上に、サイズや構造、ナットの数など注意したいポイントがあります。ホイールのPCDがマッチしないと、装着できなかったり、走行中にブレや振動が生じたりするほか、車検に適合しない場合もあるため、信頼できるカー用品店などで交換するようにしましょう。
オートバックスでは、タイヤ点検・交換をはじめ、ホイールの交換も対応可能です。さまざまなホイールを豊富に取り揃えており、作業ピットも併設しているため、タイヤ・ホイール交換にかかる時間の短縮も可能となっています。
また、交換時にどのホイールを選べばいいのかわからないといった場合でも、専門知識を持つプロのスタッフに相談できるので、ネット通販のように買い間違えるリスクが格段に低くなります。愛車にマッチした安全・安心なホイールを選ぶなら、ぜひオートバックスにご相談ください。
オートバックスのタイヤ交換(費用・交換時期の目安・予約)