ホイールのインセットとは?数値の確認方法と変更のメリット、注意点

ホイールのインセットは、ホイールの交換や取り付けの際に欠かせない重要な数値です。

インセットの数値を変更することで見た目がスタイリッシュになるなどのメリットがありますが、変更する場合には注意も必要です。適切な数値を理解しないまま作業を進めると、走行性能や安全性に影響を及ぼすおそれがあります。

この記事では、インセットの確認方法と数値を変更するメリット・デメリット、変更時の注意点を解説します。

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ホイールのインセットとは?

ホイールのインセットとは、ホイールのリム幅(横幅)の中心線から、ホイール穴の裏面にあるディスク部(取り付け面)までの距離を指します。この距離は、ホイール交換・取り付けの際に重要な指標となる数値で、単位はmm表示です。

インセットは、2008年までは「オフセット」と呼ばれることもありましたが、日本自動車タイヤ協会(JATMA)により国際基準に合わせた呼び方に統一されました。

インセットは、主に下記の3種類で示されています。

■インセットの種類と内容

種類 内容 状態
インセット
(旧称:プラスオフセット)
リム幅の中心線よりディスク部が外側にある(+表示) ゼロセット(純正)比でホイールが車体外側に出る
ゼロセット
(旧称:オフセット±0)
リム幅の中心線とディスク部との距離がプラスマイナス0 純正ホイールの状態
アウトセット
(旧称:マイナスオフセット)
リム幅の中心線よりディスク部が内側にある(-表示) ゼロセット(純正)比でホイールが車体内側に引っ込む
インセットの数値を変更し、ゼロに近づければ近づけるほど、ホイールは車体外側に出ます。ホイール交換時にインセットを適切に調整すれば、タイヤが車体外側にはみ出たり、車体内側に接触したりすることなく、車の安全なカスタマイズが可能になるのです。

なお、車の種類やタイヤサイズのほか、サスペンションの構造によりインセットの効果は異なります。一般的な傾向であり、すべての車で同じ効果が出るわけではない点に注意してください。

ホイールのインセットの確認方法

ホイールのインセットは、ホイール裏面に刻印やステッカーなどで示されており、リム径・リム幅などといっしょにホイールサイズとして表記されているのが一般的です。

例えば、ホイールサイズが「18×8J 5-114.3 +45」のインセットは、下記のような表示から確認します。

■「18×8J 5-114.3 +45」ホイールのインセット確認方法

18 × 8 J 5 114.3 45
リム径 - リム幅 フランジ形状 ボルト穴 PCD インセット

このホイールの場合、インセットは45mmです。仮に、インセットの数値を40に変更すると、ホイールは約5mm、車体外側に出ることになります。

ホイールのインセット数値を変更するメリット

ホイールのインセット数値を変更することで、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、ホイールのインセット数値を変更するメリットについて解説します。
見た目がスタイリッシュになる
ホイールのインセット数値を変更するメリットとして、車の見た目がスタイリッシュになることが挙げられます。これは、ホイールが車体外側に向けて出ることで、ホイール外側の面とタイヤを覆うフェンダー外側の面との段差がなくなり、「ツライチ」と呼ばれる状態に近くなるからです。

ツライチで車体が路面に踏ん張った印象になり、見た目の安定感と迫力が増すのはメリットといえるでしょう。

ただし、ドレスアップ目的でツライチにするためにホイール交換する場合、適切な調整を行わないと後述するリスクを伴うので、注意してください。
運動性能が向上する
車の運動性能が向上するのも、ホイールのインセット数値を変更するメリットといえるでしょう。これは、ホイールを車体外側に向かって出すことで、左右タイヤの接地面の中心間の距離である「トレッド」が広がるのが理由です。

インセットの数値を変更してトレッドを広げると、車が曲がる際などに横方向の安定性が増し、ふらつきなどを抑えることができます。

ホイールのインセット数値を変更するデメリット

ホイールのインセット数値を無闇に変更すると、いくつかのリスクがあることも理解しておきたいところです。ここでは、ホイールのインセット数値を変更するデメリットについて解説します。
フェンダーや足回りに干渉する可能性がある
ホイールのインセット数値を変更するデメリットとして、フェンダーや足回りに干渉する可能性があることが挙げられます。車体外側のフェンダーや、サスペンション・ブレーキキャリパーなどに干渉すると、部品やタイヤの破損につながるおそれがあるでしょう。

最悪の場合、ホイールを取り付けられないおそれもあるので注意が必要です。
車検で不適合になる可能性がある
車検に通らない可能性があるのも、ホイールのインセット数値を変更するデメリットといえます。

例えば、インセット数値を小さくし過ぎてタイヤ・ホイールがフェンダーから大きくはみ出していたり、フェンダーに干渉していたりする場合は、車検不適合になる可能性が高くなります

タイヤのはみ出しは、原則として車の真上から見て前方30度、後方50度の範囲内では、フェンダーからのはみ出しが禁止となっているので注意してください。なお、下記の範囲なら許容されます。

<タイヤのはみ出しが許容される範囲>
・9人乗り以下の乗用車
・はみ出してよいのはタイヤのみ、ホイールやナットは不可
・タイヤが車両の最外側部品であり、タイヤのはみ出しが10mm未満

この許容範囲を超えた場合、車検に通らない可能性がある点に注意しましょう。
ハンドル操作に支障をきたす
ホイールのインセット数値を変更することで生じるデメリットに、ハンドル操作に支障をきたす可能性も挙げられるでしょう。具体的には、ハンドルが重くなったり、路面にできたわだちにハンドルを取られたりするおそれがあります

これらの操作系への悪影響が生じないよう、インセットは適切な調整が求められます。

ホイールのインセットの計算方法

ホイールのインセットを適切に変更するには、きちんと計算する必要があります。ここでは、ホイールのインセットの計算方法について解説します。
手順1. ホイールサイズを確認する
ホイールのインセットの計算の際には、まずホイールサイズを確認することから始めましょう。このときに確認するべき数値はリム幅とインセットの数値です。

ホイールのサイズが「18×8J 5-114.3 +45」だった場合、リム幅(8)はインチ表示なのでmmに換算します。1インチは25.4mmなので、8×25.4=203.2mmとなります。この数値を2で割ったものが、リムの中心から端までの距離(101.6mm)です。

なお、装着しているホイールのサイズを確認するには、車をジャッキアップし、ホイールを取り外した上で、ホイール裏面の刻印やステッカーを確認する必要があるので注意してください。
手順2. ディスク部とホイールの端までの距離を計算する
続いて、ホイールの取り付け面であるディスク部と、外側の端・内側の端までの距離を計算します。

これは、リムの中心から端までの距離である101.6mmから、インセット(45mm)を加えたり引いたりすることで算出可能です。具体的には、下記のようになります。

<ディスク部からホイール端までの距離>
・ホイール外端まで:101.6-45=56.6mm
・ホイール内端まで:101.6+45=146.6mm
手順3. 交換予定の数値を算出して比較する
交換予定のホイールの数値を同様に算出し、装着中のホイールの数値と比較すれば、現状からホイールが何mm、車体外側に出るのかを導き出すことができます。

ちなみに、リム幅とインセットの数値を入力すれば自動的に数値を計算してくれるサイトもあるので、興味がある方はインターネットで検索してみてください。

ただ、車には個体差があり、また車種やタイヤサイズなどによっても異なってきます。インセットの変更はmm単位の繊細な調整になるため、実際の計測や調整はプロの整備スタッフに任せたほうが安心といえるでしょう。

ホイールのインセット変更時の注意点

ホイールのインセットを変更する際には、いくつかのポイントを踏まえて行いましょう。ここでは、ホイールのインセット変更時の注意点について解説します。
インセット数値を大きくしすぎるとホイールを取り付けできなくなる
ホイールのインセットを変更する際、数値を大きくすると、ホイールが車体内側に入ります。その数値が大きすぎると足回りに干渉し、ホイールそのものを取り付けできない可能性があるので注意しましょう。
ホイールのインセット変更はリム幅とセットで検討する
タイヤのインセット変更時に注意したい点として、ホイールのリム幅とセットで検討することも挙げられます。前述の計算方法を用いて、最適なバランスを算出しましょう。

愛車の最適なインセット数値を算出するのが難しい場合は、ホイールの知識が豊富なカー用品店などで相談するのがおすすめです。

ホイール選びならオートバックスに相談を

ホイールを交換する際にインセットの数値を変更するドレスアップは、車をよりスタイリッシュにすることが可能です。しかし、車検不適合にならないようリム幅などとバランスを調整しながら、しっかりと適合確認をする必要があります

ホイール選びに不安がある場合は、信頼できるカー用品店などで、相談することをおすすめします。

オートバックスでは、タイヤ・ホイールを豊富に取り揃えています。タイヤ・ホイールを買おうと思って、どのようなサイズや種類のものを選べばいいのかわからないといった場合でも、専門知識を持ったプロのスタッフに相談できるので、買い間違えるリスクが格段に低くなるはずです。

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