自賠責保険切れでも車検に通る？証明書紛失時の対応方法

自賠責保険とは、自動車損害賠償保障法にもとづき、すべての車の所有者に加入が義務付けられている保険です。正式名称は「自動車損害賠償責任保険」といいます。これはバイク（原付含む）も対象です。

自賠責保険は、交通事故における人身事故の被害者が、最低限の補償を受けられることを目的としています。補償内容は対人賠償に限られ、被害者が死傷した場合に保険金が支払われます。保険金の限度額は、下記のとおりです。

＜自賠責保険で支払われる保険金の限度額＞
・死亡：3,000万円
・ケガ：120万円
・後遺障害：等級によって75万円～4,000万円

なお、加害者であるドライバーのケガや、車の修理代については補償対象外となります。

また、自賠責保険に加入していない無保険状態で車を運転すると、法律違反です。1年以下の懲役または50万円以下の罰金となり、違反点数も6点が加算され、即座に免許停止処分になってしまいます。
さらに、無保険状態で事故を起こした場合、被害者に対する賠償金をすべて自己負担する可能性があるので注意してください。

ちなみに、自賠責保険に加入すると「自動車損害賠償責任保険証明書（自賠責保険証明書、自賠責保険証）」が発行されます。
自賠責保険証明書に関して注意したいのは、車の公道走行時の携行義務です。もし、自賠責保険証明書を携行せずに車を公道で運転していた場合、30万円以下の罰金が科せられる可能性があるので注意しましょう。

車検は、道路運送車両法にもとづいて、公道を走る車が保安基準などを満たしているかどうかを定期的に検査する制度です。正式には、「自動車検査登録制度」といいます。車検はカーディーラーやカー用品店のほか、車検専門店、ガソリンスタンドなど、さまざまな車検取扱業者に依頼が可能です。

車検は、車検満了日の2ヶ月前から当日までの期間内で受けると、有効期間を2年延長することができます。2025年3月までは車検満了日の「1ヶ月前」でしたが、制度変更によって2025年4月1日からは「2ヶ月前」に変更されました。

車検の有効期間は車種によって異なりますが、自家用乗用車や軽乗用車の場合は、新規検査・登録から3年後、それ以降の継続検査は2年ごとに受けなければなりません。

自賠責保険と車検は、根拠法が異なるものの、密接に関係しています。車を運転する場合は、自動車損害賠償保障法第5条「責任保険又は責任共済の契約の締結強制」にもとづいて、自賠責保険への加入が必須です。

一方の車検は、道路運送車両法第58条「自動車の検査及び自動車検査証」にあるとおり、受けていない車の公道での走行ができません。そもそも、自賠責保険に加入していなければ、車検を受けることはできません。

車検手続きの際には、自賠責保険の保険期間が車検の有効期間を満たしている自賠責保険証明書が必要となっています。この証明書を紛失していたり、保険期間と有効期間が適切に対応したりしていなければ、車検を受けられない仕組みなので注意が必要です。

車検切れについては、下記の記事もご覧ください。

新車の場合、車検の有効期間が3年のため、自賠責保険は36ヶ月（3年）、または37ヶ月（3年＋1ヶ月）の保険期間で加入します。2回目の車検以降は24ヶ月（2年）ごとに車検を受けるため、24ヶ月（2年）、もしくは25ヶ月（2年＋1ヶ月）で加入することになるのです。

前述のとおり、車検を受けるには自賠責保険に加入している必要があります。しかし、車検の整備や手続きの遅れで、無保険期間が発生する可能性もあるでしょう。それを避けるため、1ヶ月多めの37ヶ月、もしくは25ヶ月で契約する場合がほとんどです。

ちなみに、沖縄県や離島地域は、本土とは異なる保険料が設定されています。これは、地域特性や事故率などの違いを考慮しているのが理由です。

自賠責保険の保険期間の満期日が過ぎており、期限切れとなった場合は、すみやかな再加入手続きが必要です。

加入する保険会社や共済団体などへ連絡し、登録番号や車台番号がわかる書類（自賠責保険証明書や車検証）を用意して、カーディーラーや保険代理店などで手続きを行ってください。

なお、インターネット上で加入できるダイレクト型自動車保険は、自賠責保険を取り扱っていないので注意しましょう。

再発行に必要な手続きは、下記のとおりです。

＜自賠責保険証明書の再発行手続きの流れ＞
1. 本人確認書類（運転免許証、パスポートなど）を準備する
2. 本人確認書類の撮影を行う
3. 「One-JIBAI」に利用登録する
4. 「One-JIBAI」で再発行手続きを行う
5. メールか郵送でPDF証明書または新しい自賠責保険証明書を受け取る

なお、メールは手続きから1～2営業日で届きますが、郵送の場合は2週間程度かかります。急いで紙での再発行をする必要がある場合は、加入する保険会社や保険代理店に相談するようにしてください。

自賠責保険証明書には、記入漏れや記載内容の誤りがあると、未加入と見なされるおそれがあるので注意してください。

自賠責保険証明書には、下記の項目が記載されています。訂正は、「One-JIBAI」のサイトで可能ですが、乗用車の場合、車検証または電子車検証発行時に配布される書面「自動車検査証記録事項」を撮影してアップロードしなければなりません。

＜自賠責保険証明書の記載項目＞
・自動車の用途・種別
・車台番号
・登録番号
・保険期間（開始日・満期日）
・保険契約者の住所・氏名

特に、自動車の種別や登録番号のほか、保険期間などに誤りがあると、事故の際に補償を受けられない可能性もあるので注意が必要です。自賠責保険に加入して受け取った際には、内容が正確に記入されているか必ず確認しましょう。

強制保険と呼ばれる自賠責保険と、車の公道走行に必要な車検制度には、密接な関係があります。車を車検に通すには、自賠責保険証明書の保険期間が、車検の有効期間をカバーしている必要があるので注意してください。

もし、期限切れになっていても、再加入や再発行の手続きをすれば、車検に出すことができます。自賠責保険切れや車検切れの車を運転するのは、法律違反となるので注意しましょう。

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